One to Oneマーケティングを実現する=イオンマーケティング 小賀雅彦 社長
──ある商品を買った人にだけ、クーポンなど特定の情報を配信できるようになるわけですから、実現すれば本当に革新的なことです。
小賀 ええ。ぜひとも、イオングループの現場で働く方の理解を得て、できるだけ早い段階で実現できるようにしていきたいです。
ただし、One to Oneマーケティングの実現には、難しい点もあります。たとえば、われわれ小売業の店舗は膨大なアイテム数を取り扱い、食品だけでも1万アイテムにものぼります。日本マクドナルド(東京都/原田泳幸会長兼社長)さんのようにメニュー数が限られているわけではないですから、ともすると「どこに対象商品があるのかわからない」状態になり、お客さまに不愉快な思いをさせてしまうおそれがあるのです。
その問題をどのように解決するかは、これから学習していくほかありません。ただ、非常に効果的な販促ツールとなることだけは、間違いありません。
──イオンマーケティング設立の記者会見の際に、年間のチラシ削減効果は約9億円と発表していました。これはかなり早い段階で実現できるものと見ているのでしょうか?
小賀 いいえ。画面が大きく文字も大きいというように、チラシにはチラシのよさがあります。とくに現在、ご高齢のお客さまには今後もチラシが効果的な販促手段だととらえています。
とはいえ、新聞の購読率は下がる一方ですから、その効果は低下し続けていきます。また今の40~50代の方が高齢化したときは、今の高齢者とは情報をとらえるツールや感度がまったく異なるものと見ています。
したがって、チラシよりもケータイ販促の優位性が、だんだん出てくるでしょう。急激にチラシからケータイ販促へと舵を切っていくのではなく、様子を見ながら段階的にシフトしていくことになります。