2019年、「人類はAI技術によって職を失う」と叫ばれていたが、2020年からはコロナ禍によって話題は変わり、最近では戦禍や円安や物価高やDXの話題が中心となりAIのことを聞くことが減少した。流行とは面白いものである。
しかし、AI技術が進まずとも社会環境が変われば既存のビジネスや商品は新しい仕組みや価値に変わる。これも世の常であり仕方のないことだが、ショッピングセンター(SC)のビジネスも変化し、これまで当たり前として取り組んでいた業務も縮小、もしくは消滅が始まっている。
この連載でも、その環境変化を指摘した上で今後のSC経営の将来ついて解説してきたが残念ながらこの指摘が既存のビジネスを否定することにもつながるためお叱りをいただくことも少なくない。とはいえ、時代の流れに抗うことはできない。今回はこの環境変化によってSCを取り巻く周辺ビジネスの変化をテーマにしていこう。
決済サービスの変化、プロモーション費用の減少
技術革新による既存のサービスが消失することが多い。古くはクレジットカードの決済に用いるインプリンター(いわゆるインプリ)からCAT(信用照会)端末へと切り替わったことがその一例だろう。それまでカーボン紙を使ってエンボスを読み取っていたものが情報通信技術を使った端末処理に変わり、最近ではICチップやQRコード決済により、CAT端末から吐き出される紙の利用明細書も消えつつある。その上、スマホによるコード決済も増加し、決済手段の多様化は急速に進んでいる。
過去、(紙の)新聞を多くの世帯が読んでいる時代は、折り込みチラシの効果が大きかった。FAX通信はもはや懐かしいが、今はネットの普及により情報伝達がPCへ、そしてスマホへと変わった。伝達ツールも新聞や雑誌などの紙媒体、テレビ、ラジオなどの電波媒体、電車の中刷り広告やポスターなどのSP媒体は大きく減少し、今やスマホで閲覧するHPやSNSへ移り、印刷技術に掛かっていた時間とコストは大きく削減された。SNSは無料発信を可能とし、プロモーション費用は大幅に削減され、それまでこの分野に関わってきた方の職業も大きく変わっている。
キャッシュレス化への取り組み
冒頭で解説した「決済サービスの変化」にも大きく起因するが、ここ数年で大きく変わるのは、やはり現金の減少である。
経産省も世界標準の80%まで引き上げることを目指し多くに施策で後押ししている*1。実際現在のキャッシュレス比率は、32.5%となり、大きく伸びている。この他、家賃の自動引き落としなどを勘案するとそれ以上のシェアではないかと言われている。
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