止まらない市場縮小……スーツ専門店最大手の青山商事の戦略は?
紳士服専門店「洋服の青山」を展開する青山商事(広島県/青山理社長)が5月13日に発表した2022年3月期連結決算は、売上高が1659億円、営業利益が21億円、当期純利益が13億円だった。
同社は期首より「収益認識に関する会計基準」などを適用しているため、業績は前期と単純比較ができないが、最終赤字に沈んだ21年3月期から黒字転換を果たしており、最悪期からは脱している。
紳士服専門店だけじゃない! 多角化経営を推進中
青山商事は「より良いものをより安く、洋服の販売を通して社会に貢献する」という創業時からの理念のもと、紳士服専門店の「洋服の青山」を全国に展開している。ちなみに、大手紳士服専門店チェーンの中で、47都道府県のすべてに店舗展開しているのは青山商事だけとなっている。
販売シェアは、青山商事が約4割近くを占め、AOKIホールディングス(神奈川県/青木彰宏社長)が約3割と続く。紳士服専門チェーン業界は、上位2のシェアが7割に達する、2強体制となっている。
一方で、“本業”でもあるビジネスウエア事業は、青山商事に限らずどのチェーンも伸び悩んでいる。現在は大手紳士服チェーンの多くが多角化を推進しており、それは青山商事も例外ではない。
青山商事では現在、ビジネスウエア事業のほかに、主に以下の事業をドメインとしている。
・カード事業:会員クレジットのAOYAMA CARDを運営しビジネスウエア事業を支援
・印刷・メディア事業:販促支援企業としてクロスメディアや印刷物企画制作などを展開
・雑貨販売事業:100円ショップ「ダイソー」のフランチャイジー、「洋服の青山」閉鎖店舗や空きスペース有効活用策として運営し、店舗数は100を超える。
・総合リペアサービス事業:靴修理や鍵の複製などを手掛けるミスターミニット(社名はミニット・アジア・パシフィックで青山商事の完全子会社)を国内・アジアで635店舗展開
・フランチャイジー事業:「洋服の青山」駐車場空きスペースを活用し、焼き肉キング(38店舗)・ゆず庵(13店舗)をフランチャイズ展開
これらビジネスウエア以外の事業の売上高は現在、全体の3分の1前後を占める規模となっている。
なお、主力のビジネスウエア事業も「ザ・スーツカンパニー」「ホワイト ザ・スーツカンパニー」「ユニバーサルランゲージ」など業態の多様化を図っているものの、現在も1000近い店舗のうち8割以上を 「洋服の青山」が占める。