コロナ禍で好調のゴルフダイジェスト・オンライン ブームの先に見据える成長戦略とは
長引くコロナ禍でフィットネス・スポーツ業界では多くの企業が打撃を受けたが、逆に好調を維持しているのがゴルフ業界だ。オープンエアで「密」を回避できるレジャーとあって、最近では20代、30代の女性ビギナー層が急増している。
その好調を追い風に、2021年12月期通期決算で前年のほぼ倍増の営業利益を上げたのがゴルフダイジェスト・オンライン(東京都/石坂信也CEO)だ。しかし、この活況の中でも「一時的なブームで終わらせたくない」と、リテールビジネスユニット ユニット長の坪井春樹氏は気を引き締める。ゴルフ場予約・メディア・ECの3事業を中核とするビジネスモデルでゴルフ市場に風穴を空け、20年以上にわたって業界を牽引してきた同社。今後のゴルフ市場をどう見すえているのだろうか。
「密を避けられるレジャー」で女性ビギナー層が増加
ゴルフダイジェスト・オンライン(以下「GDO」)の2021年12月期通期決算は、売上高が対前年比17.5%増の395億円、営業利益は同103.4%増の17.0億円。2020年の新型コロナウイルス禍による落ち込みから回復し、営業利益はほぼ倍増し過去最高益を記録した。
好調の背景にあるのが、ゴルフ需要の高まりだ。経済産業省の「特定サービス産業動態統計」によると、2021年のゴルフ場利用者数は1026万人、ゴルフ練習場利用者数は2507万人。対前年比でそれぞれ15.1%、17.8%も増加しただけでなく、コロナ禍以前の2019年をも上回る伸びを示している。
ゴルフ場・ゴルフ練習場利用者数の推移(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」)
2019年 |
2020年 |
2021年 |
|
ゴルフ場 |
9,296,106 |
8,912,524 |
10,257,560 |
ゴルフ練習場 |
19,502,580 |
21,281,859 |
25,068,816 |
「室内での人混みを伴うアクティビティが敬遠される中、オープンエアでプレーでき、『密』を避けられるゴルフのメリットが広く認知された」と、リテールビジネスユニット ユニット長の坪井春樹氏はゴルフ人口の増加要因を語る。
そして、このゴルフ人口を押し上げた“主役”が20代、30代の女性ビギナー層だ。同社が運営する「GDOクラブ」では、30代以下の女性会員数が1.83倍増加した。
InstagramなどSNSでも、若い女性が思い思いのファッションでラウンドを楽しむ投稿が目立つ。もともとコロナ前まではやや減少傾向にあったゴルフ人口だが、コロナ禍を経て参入した女性ビギナー層が、ゴルフ人気を支える新たな主役になっている。