“タブー”を新しい常識に 日本上陸10周年のフライングタイガーの生き残り戦略とは
“デンマークらしさ”どこまで貫く?
フライングタイガーのビジネスモデルは、本家デンマークで作られたもの。それをそのまま日本に輸入した形だ。魅力は、人気の北欧雑貨を数百円から楽しめることで、キッチン用品、文房具、フィットネス用品から菓子類まで、数千点におよぶオリジナル商品は、デンマークの専門チームがデザインを手掛けている。商品はおしゃれなだけではなく、ユニークだ。「これはどうやって使うんだろう」と客が立ち止まって商品を手にとって、「なるほど」と頬を緩ませる姿は、フライングタイガーでは珍しくない。
イースター、新学期、ハロウィンなど毎月のキャンペーンごとに数百という単位で新商品が誕生し、それらは小ロットのため、なくなり次第終売となる。お気に入りに出会ったら、その場で購入しておくのがベター。二度と出会えないかもしれない一期一会の楽しさがある。なお、店内は一方通行(ワンウェイ)であり、何度もぐるぐると回って買い物を楽しむ店舗設計となっている。
日本のダイソーや3COINSが「モノ起点」だとしたら、フライングタイガーは「ヒト起点」だ。「創業者のレナート・ライボシツは、モノというより人と人をつなぐコミュニティを作るために、フライングタイガーを創業した」と話すのは、日本でフライングタイガーを運営するZebra Japanの松山恭子CEO。フライングタイガーのコンセプトは、人と人を近づける商品をつくり提供すること。根底にあるのは、“Hygge”(ヒュッゲ:デンマーク語)という北欧文化だ。大切な人との心地いい時間や空間を指す言葉で、世界幸福度調査の上位国であるデンマークらしい世界観がある。従業員も大切にする同社の離職率は7%(2021年度)と低く、店長の半数以上は、アルバイトからキャリアアップしていったフライングタイガーをこよなく愛するベテラン社員たちだ。
こうした企業文化は、商品や店に反映される。日本人の目に新鮮に映り、フライングタイガーの熱烈なファンは少なくない。ユニークな商品が“バズる”こともしばしばだ。