流通専門メディアが解説する!2021年スーパーマーケット売上高ランキングトップ20
全国スーパーマーケット協会など3団体がまとめた食品スーパー(SM)の2021年の全店売上高は対前年比0.4%減の11兆6631億円だった。コロナ特需を享受した20年が、12年の年間集計開始以来、最高値の5.0%増だった反動もある。初めての前年割れとなった19年比で見れば5.8%増であり、おおむね好調に推移したといえるだろう。
コロナ特需の反動減に見舞われた2021年
この3年で、SMの市場環境は大きく揺れ動いた。19年の販売動向は、ドラッグストアをはじめとする他業態との競合が厳しさを増し、全店ベースの売上高が前年を下回った。20年は、緊急事態宣言発出による内食需要の拡大、買い物機会の抑制などにより、生活の場に近く、食材が豊富なSMでのまとめ買いが増えた。コンビニエンスストアに奪われていた顧客を取り戻しただけでなく、SMは生活インフラとしての、日常生活に欠かせない存在であることが改めて確かめられた。
そして21年は20年の反動もあり、前年実績を下回ったSM企業が少なくない。そうしたなかで、第2四半期(以下2Q)、あるいは第3四半期(以下3Q)段階で、前年を上回る実績を残している売上上位企業は(決算資料等から確認できたところ)、ライフコーポレーション(大阪府:3Q、1.1%増)、アークス(北海道:3Q、3.6%増 ※ただし、21年4月より栃木県のオータニを連結)、オーケー(神奈川県:2Q、2.1%増 ※非上場)、ヤオコー(埼玉県:2Q、4.7%増)、ベルク(埼玉県:2Q、6.5%増)などだ。
突然のオーケー参戦で、その去就が注目を集めた関西スーパーマーケット(兵庫県)は、結局のところ、当初どおり、エイチ・ツー・オーリテイリング(大阪府)傘下となり、22年2月1日付で関西フードマーケット(旧関西スーパーマーケット、イズミヤ(大阪府)、阪急オアシス(大阪府)の持ち株会社)に商号変更した。3Q時点(21年12月末)の22年3月期見込み売上高は2891億円となっている。
首位はライフ、次点はU.S.M.H
間もなく、2月決算、3月決算企業の2022年決算が発表になる。コロナ特需を新たなステップに、SM企業は、ネット企業やドラッグストアを交えた競合市場で戦う道筋を見つけたのだろうか。各社決算発表を待つ前に、21年決算での売上ランキングはどうなっていたのか、ここで振り返っておこう。
売上高ランキングで首位となったのはライフコーポレーションだ。好業績下で同社はさらなる成長に向けた投資を積極的に進める。自然派SMフォーマット「ビオラル」の展開により、コロナ禍での消費者の健康意識の高まりに対応。需要が急増しているネットスーパーについては、アマゾンジャパン(東京都)のAmazonネットスーパーに出店、首都圏、京阪神での対応エリアを拡大する一方、自社運営のネットスーパー事業に関しては、取引先配送会社と新会社「ライフホームデリバリー」を設立、自社でのラストワンマイル配送を進めている。
ランキング2位は、マルエツ(東京都)、カスミ(茨城県)、マックスバリュ関東(東京都)を傘下に有するユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都)。昨今は出店エリアでの競争激化によって苦戦が続いていたが、21年2月期は事業会社3社単体でもそれぞれ増収増益を達成している。
3位は、イオンが18年に打ち出した「スーパーマーケット改革」の一環で、マルナカ(香川県)、山陽マルナカ(岡山県)を吸収合併し事業規模を拡大したマックスバリュ西日本(広島県)だ。21年2月期の最終利益は前期の53億円の赤字から39億円の黒字転換を果たした。アークスが4位。前年から変わらずだが、傘下のSM事業会社もすべて増収増益だ。