アイリスオーヤマ大山健太郎社長 賀詞交歓会挨拶抄録(1)

2015/01/13 00:00
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 2015年1月8日(木)。アイリスオーヤマ(宮城県)グループ23社の合同賀詞交歓会が開催された(@ホテルメトロポリタン仙台)。大山健太郎社長の年頭挨拶を抄録する(談:文責・千田直哉)

 

 毎年年末には、中国の各工場に出張し、状況を確認している。今年は、その流れで年末年始を香港で過ごすことにした。

  久しぶりの香港。ホテル料金は、日本とほぼ同レベルの感覚だ。しかしチェックアウトの際に1ドル120円で計算してみると日本の2倍超の金額になっていて驚いた。

 当たり前のことかもしれないが、「ああ、なるほど。円安とはそういうことか!」と自分の事として納得させられた。

 香港は昔から“買い物天国”であり、合流した妻もショッピングを楽しみにしていたが、ホテルに戻ってくるなり「日本の方が安い」とため息をついていた。

 

 さて、日本に帰国してから、景気に関する予想を見ると、日本経済の復調という観測が支配的だった。

 確かに足元を見れば、円安と株高によって、日本経済は好調に見える。

 しかし、円安は日本経済に良い影響を与えるばかりではない。

 

 なぜなら、日本の1年間の貿易額をみると、輸出が70兆円、輸入が80兆円で貿易赤字の状態だからだ。

  輸出をしている70兆円の企業にとっての2割の円安は、14兆円が丸々と利益として転がり込む。また、ドルベースで考えれば、日本の株価は非常に安い。だから過去2年間で6割強も上がった。

 円安を受け、日本ではインバウンド需要の獲得をねらい、どの企業も海外旅行者向けの販売促進に力を注いでいる。政府の発表によれば、海外からの旅行客は1300万人規模に上る。海外から見れば、日本はホテルに飲食、物価と何もかもが安い。だから、海外からたくさんの観光客が訪れ、いろいろなモノを購入してくれる。

  その結果、法人の収益は上がり、株価は上昇し、税収も上がる。

  しかし、そのことで潤うのは70兆円の輸出を支える1~2割の大企業である。

 

 一方で、日本の企業の大多数は、内需型の中小・零細企業だ。

  輸入額の80兆円が2割の円安になると、その分を誰かが負担しなければいけない。

  税金を納めている大企業は、勝ち組で利益をあげている。だが、日本の大半の企業は利益を上げられずにいる。そして、これら企業と消費者が負担を強いられることになる。

 だから、「円安でよかった」という勝ち組企業もある半面、「円安は大変」と考えている企業の数は相当多いはずだ。

  グローバル経済の時代は、物事を国内だけで見ていてはだめで海外からの視点も同時に見なければいけないということだ。

 

 日本のGDP(国内総生産)にしても、15年前までは、米国に次ぐ、世界第2位の規模で15%のシェアを握っていた。しかし、現在は米ドルベースで考えると、当時の4分の1。しかも4年前までは中国と肩を並べていたのだが、いまや中国の2分の1にまでなってしまった。

  日本経済をサッカーに例えると、これまではJ1で優勝争いをしていたチームが、15年間の負けが込み、J2に降格。現在は、J2で奮起して勝ち点を積み重ねているような事態に見える。もちろん負けるよりも勝った方がいいが、本来、日本は、J1で堂々と勝っていくことが大事だ。

 

http://diamond-rm.net/articles/-/11730
 

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