目に見えないものを大切にしたい
小誌『チェーンストアエイジ』誌の人気コーナーのひとつに「ニューストアレポート」がある。その名の通り、新規出店した店舗や話題の店舗を取材し、写真をふんだんに掲載し、2頁から4頁ほどでレポートするというものである。
全国の新店をめぐることが時間的にも経済的にも難しい読者みなさまから大いに支持されており、有り難い限りである
「ニューストアレポート」では店内の雰囲気や造作、什器、POPなどの販促物、店内の新しい取り組みや新メニューの総菜、ナショナルブランドやプライベートブランドの展開方法などを積極的に紹介してきた。
ただ、先日、ある店舗を訪問した折に、ふと疑問が頭をよぎった。
「激化する小売業の競争要因は、『ニューストアレポート』内の写真では表現できないところにきているのではないか?」。
それというのも、オーバーストア下における食品小売業の競争要因は、《見栄え》から、簡単にマネることはできない《味》《エクスペリエンス(体験)》の領域にシフトしていると考えたからだ。
《味》や《エクスペリエンス》とは、主観的で曖昧なものであり、いくら写真を綺麗に掲載しようとも伝えることができない。
《見栄え》はよくてもまずいもの、その逆もあるだろう。
もちろん、だからといって「ニューストアレポート」が読者のみなさんの参考にならないということにはならない。
けれども、「大切なものは目に見えない」(サン・テグジュペリ)という言葉をしっかりと噛みしめながら、《味》《エクスペリエンス》を含め、写真を見ても分からない部分をしっかりとレポートすべきだと自戒している。
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