日本通信販売協会 賀詞交歓会での佐々木迅会長発言
2014年1月10日、日本通信販売協会(JADMA:東京都/佐々木迅会長)の賀詞交歓会が開かれた(@パレスホテル東京)。ネット販売に牽引され、アップトレンドをキープする業界会長は、どんな挨拶をしたのだろうか?(談:文責・千田直哉)
「2012年度の通信販売業界全体の市場規模は対前年度比約6%増の5兆4100億円だった。分母が大きくなっていく分、率は小さくなっているが、依然、増加基調にあることには変わりない。通信販売に新規参入する企業が多いからで、2013年末には大手流通企業も加盟してくれた。今後、流通業界は、オムニチャネルの実現に取り組み、様々な模索を開始するだろう。インターネット環境やスマートフォンなどのモバイル端末の進化も増加基調を支えている要因のひとつだ。協会としても、変化に対応していかなければいけない」
「2014年4月1日に消費税増税が予定されている。消費増税にともない駆け込み需要もあるとは思うが消費の先行きは不透明だ。また、通信販売は注文時期と配送時期にズレがある。経過処置はあるものの、今の実態が配慮された制度ではないというのは非常に残念なことだ。もうひとつ。軽減税率の導入が議論されているが、我々の業界にとっての仕組み的なものから言えば非常に複雑にならざるをえない、と危惧している」
「当協会の消費者相談室である『通販110番』に寄せられる相談は、ネット通販の詐欺サイトに関するものが急増している。2013年4月から12月までに、約3000件の相談があった。これは前年の5.5倍に当たる。その大半はネット販売を装い、お金を振り込ませて、騙し取ったり、コピー商品を売りつけたりするというあくどい手口だ。協会は、こうしたネット通販詐欺に遭わないように注意点を公表した。新聞やテレビ、ネットニュースなどが取り上げてくれたこともあり、非常に大きな反響を呼んだ。こういう呼びかけは通信販売の信頼を獲得するためにも続けていきたい」
「2013年は、ホテル業界に端を発した食品偽装の問題があった。通信販売業界にとっても大きな課題である。あらゆる食品が適正表示を行うことが最も重要だ。協会では従来から広告表示の適正化ということで取り組んできたが、関連のセミナーを増やして取り組みを一層強化したい。また、政府の規制改革会議で検討されている健康食品の機能性表示の問題もある。こちらは今年、本格的な議論が行われる。健康食品の有力な販売チャネルである通信販売協会を代表して意見を述べていきたい。消費者にとってわかりやすい商品の選択が容易にできる表示制度で、かつ通信販売業界も利用しやすい制度となるように意見を集約して要望を出したい」
「2013年は日本通信販売協会の創設30周年記念だった。夏には『アジア通販サミット』の主催国として千葉県幕張で開いた。『アジア通販サミット』は3周年を迎えている。2011年は中国の南通。2012年は、韓国のソウル。2013年は、幕張と一巡して、今年は7月に中国の大連で『アジア通販サミット』が開かれる。日中韓の外交関係は必ずしも良好とは言えないが、そういう時だからこそ、民間の交流は非常に重要だ。ぜひ、参加してもらいたい」
「今年は、創設31年目。新たな歴史の始まりだと思う。日本通信販売協会の認知度をさらに高めていきたい。業界を代表する自主規制団体として、通信販売の基礎的な知識の普及と消費者保護に努力していきたい」
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