同じ手を打っても…
食品スーパーの経営者は、本当に如才無い人たちばかりだ。ストアコンパリゾンを怠ることなく行い、良いケーススタディがあれば、遮二無二、導入する。その結果、企業間の同質化が進んでしまうという難点はあるけれども、時代や競合に取り残されぬように良く学び、常に実践している。
最近の商品政策の事例で言えば、「冷凍野菜」「冷凍肉」、電子レンジで温めるだけで食べられる「レンジアップ商品」やフライパンで焼くだけで食べられる「味付け肉」「味付け魚」などの「時短・簡便・即食」商品。「小容量パック」「地元の農家がつくった野菜」「おはぎ」…など枚挙に暇がない。オリジナルは一体どこの企業なのかさえわからなくなってしまっているほど積極的だ。
ただ、不思議なのは、各社が同じ打ち手であるにもかかわらず、成功する企業と失敗する企業が出てきてしまうことだ。両者の違いは何かを私なりに突き詰めてみると、人材のモチベーションによるところが大きいような気がする。たとえば、「レンジアップ商品」という課題を与えられた時に、担当者がいかに面白がって真剣に取り組んでいるかが成否のカギを握っているのだと思う。言葉にしてしまうと、たったそれだけの差でしかないのだが、その差が企業の存亡にかかわるほどの結果になって現れることがあるのだから怖い。
『チェーンストアエイジ』誌2013年6月1日号
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