知る人ぞ知るスーパーマーケットの聖地、 福岡・小倉の旦過市場を歩く
「特上にぎり」をいただく
市場を南の方向に進むと、火災の被害を受けたのは左手、つまり通りの東側だったことがわかる。かつては古びた商店が所狭しと並んでいたが、今は更地になっているのか簡易の塀で覆われていた。ただ、中には焼け残った看板を掲げ、以前と同じ場所で再スタートを切っている店も見られた。


さらに歩き、発見したのは被災した店舗が仮設の建物で営業する「旦過青空市場」という区画。環境は大きく変わってしまっても、旦過市場にこだわり、商いを続ける様子からは、人間のたくましさが伝わってくる。
よく見ると、その一角の通路には飲食スペースが設けられている。テーブルが並べられ、市場で購入した商品を持ち込めるようになっている。当初、その予定はなかったのだが、応援の意味を込め、私もここで食事してみることにした。
市場を何度も往復し、まず買ったのは寿司。鮮魚店直営の店とのことで見た目にも大いに食欲をそそられた。数ある商品のうち大トロやあわびなど8貫入りの「特上にぎり」を選んだ。さらに人が群がっていた揚げ物の店では「アジフライ」、「鹿児島県産豚肉メンチカツ」なども購入した。

飲食スペースへ戻っていただく。最初は寿司からである。容器のフタを皿代わりにして入れたしょうゆにつけ頬張った。ネタが新鮮なのだろう、歯応えもこりこりした食感、パック入りの寿司とは思えないおいしさに感動した。フライも美味で、箸が止まらなかった。あれよあれよという間に完食した次第である。


満足して再び市場を歩いた。するとさっきよりも人出が増えており、皆、笑顔で各店をのぞき込んでいる様子が印象的だった。大きな被害を受けたものの、北九州市を代表する市場は再起に向け、確実に動き出していると感じた。

もし小倉を訪れる機会があれば、ぜひ足を運んでほしいと思う。
森本守人の 京都、これ知ったはります? の新着記事
-
2025/07/11
あの有名チェーンより古い!京都・三条大橋にある元祖ぎょうざの店「珉珉」 -
2025/06/20
「駅伝発祥の地」京都・三条大橋、老舗食堂の看板メニュー「皿盛」とはどんな料理なのか -
2025/06/18
京都・四条烏丸で人気! 老舗喫茶店「高木珈琲本店」で楽しむモーニング -
2025/06/06
観光客はまだ知らない! 京都・四条大宮の老舗中華そば店の意外な名物メニュー -
2025/05/08
愛媛県南部の城下町で楽しむ、海の幸あふれる郷土料理「宇和島鯛めし」の魅力 -
2025/05/05
京都・寺町、明治時代創業の老舗飲食店で味わう人気メニュー「田舎そば」
この連載の一覧はこちら [46記事]





前の記事
