ネットスーパー再考
月に1回くらいの頻度でネットスーパーを利用するようになった。
「5000円以上の買い上げで配送料が無料」になるので、つい買い過ぎてしまう傾向は否めないのだが、いくつかの問題点を除けば、とくに嵩張り、重量のあるモノを購入するに際しては、便利なことこの上ない。
その問題点については改めて書くことにして、ここでは品揃え型のネットスーパーについて少し言及したい。
以前、このBLOGでも書いた通り、「○○円以上の買い上げで配送料無料」というビジネスモデルのネットスーパーは永遠に儲からないものと思われる。
この考え方は、いまも変わりなく、「一定価格以上配送無料方式」でネットスーパー事業を本格的に軌道に乗せたいのであれば、SPA(製造小売業)型の小売企業にシフトするしかないだろう。
SPA型であれば、取扱商品はすべてPB(プライベートブランド)になり、オリジナル商品になるから価格競争に巻き込まれにくくなる。粗利益も率・額ともに確保でき、採算も合うようになると思われるからだ。
だが、消費者の立場に立って、食品をはじめとする生活必需品をある程度の頻度で購入する場合は、1社のPBだけで満足することは難しく、生鮮食品もNB(ナショナルブランド)も買いたい。
また、商品カテゴリーごとに何度も違う企業の店舗を訪れ、検索し、カートに入れて精算する、という時間的ロスは極力したくない――。
ネットスーパーにワンストップショッピングの機能も求めてしまうのである。
さらには、ショートタイムショッピングもしたいし、価格は安い方がいいに決まっている…。
このように消費者とは実にワガママなものだ。
だが、そんなワガママな消費者に何もかも対応していたならば、たとえSPA型にシフトしたところで、儲かるはずがないのは当たり前の話だ。
将来的に見て、ネットスーパーには大変な可能性が宿っていると考えられるが、成功に向けては、消費者の要望をどこで断ち切るか、という発想も必要になってくるだろう。
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