目に見える「リスク」は「リスク」ではない
「リスク」とは、邦訳では、「危険性」とあてることが多い。
道を歩けば、「リスク」だらけの世の中である。
たとえば、自動車がたくさん行き交う通りを横断する際には、交通事故に遭う「リスク」が生じる。しかし、自動車がたくさん行き交っているという事実を事前に認識できれば、大抵の交通事故は回避できる。
その意味では、本当の「リスク」とは、交通事故に遭うまいと気を取られているうちに転んでしまったり、落下物に当たったりすることなのかもしれない。
コンサルタント企業のユーラシアグループ(本社:ニューヨーク)は、このように目に見える「リスク」は「リスク」ではないという考え方に基づいて、この年初に2012年度の10大「リスク」予想を発表した。
特徴は、世間が認識しているような「リスク」を取り上げていないことにある。ユーロ危機も、主要国の元首選挙も、中国経済の減速も上位にはランクインしていない。
具体的にトップ3を見ると、①9・11後時代の終焉(政治と経済が“分離”から“オーバーラップ”する時代に突入)、②G-0(どの大国も世界のリーダーにはなろうとしない)、③欧州(瓦解することはないが手を打たないこというもたつきに問題がある)だ。
http://eurasiagroup.net/media-center/view-press-release/Eurasia+Group+publishes+Top+Risks+for+2012
われわれ企業にしても目視できる「リスク」とは、まず回避できるものだ。
怖いのは、想定外またはシミュレーションの外から派生する「リスク」であり、これが何であるかを特定し、備えることが大事と言えるだろう。
※なお、同予想では、マヤ歴の終焉と人類滅亡説についても言及している。「起こるわけない。でも起こったら、ゴメンネ、ゴメンネ」。
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