潜在需要は1500兆円?!
昨日発売の『プレジデント』誌(プレジデント社刊行)の特集は、「『病院、介護、葬式、墓』大百科」だった。自分、家族、親を救うための情報が満載で、「病気、要介護、永眠するまで、そのときいくら必要か?」のピンキリ相場を徹底比較している。
最近の出版界では、この手のタイトルの特集がよく組まれ、実際によく売れている。
たとえば、『週刊ダイヤモンド』誌(ダイヤモンド社刊行)2009年1月24日号の特集企画は「最新調査 寺・墓・葬儀にかかるカネ」。「不吉だから…」と生前には見ないようにしている「死後の費用」をシミュレーションし、“その日”に向けて備えるべき額を提示した。通常の刷り部数では間に合わないほどよく売れ、急遽、2万部を増刷。週刊誌の増刷は稀な事態なのだが、これも完売したという。
日本には個人資産が1500兆円あると言われているが、流動性は乏しく、内需拡大にはなかなか貢献しない。
貯め込んで使わない最大の理由は、将来の不安だ。とくに自分の健康、家族の介護、老後や死後は、万人にとって大きな関心事だ。
そして、こうした内容の特集が売れている背景には、70代・60代・50代・40代・30代、それぞれの立場で抱える不安の存在があると推測できる。
不安の裏側には、必ずビジネスチャンスが宿っているはずだ。
にもかかわらず、日本の多くのチェーンストア企業のメーンターゲットは相変わらず“団塊の世代”、“団塊ジュニア”とそのジュニアで、凝り固まっており、旧態から抜け出す気配を感じない。
その中で、ベイシアグループ(清閑堂)やイオンが墓石の販売や葬儀ビジネスを展開していることは注目に値する。
老後や死後の不安を解消するビジネスには、1500兆円という巨大な氷塊を溶かし、市場化させる可能性があるからだ。
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