政治家は政治をしてくれればいい、という考え方もある
「それが何か(Et alors)?」
フランス第5共和政の第4期大統領を2期14年務めた故フランソワ・ミッテラン氏は、大統領就任直後の記者団との会合の席上で愛人問題に関する質問を受けた際に、こう答えた。
それで済んでしまうほど、フランスのメディアは、政治家の色恋沙汰を政局にはリンクさせないと言われている。
政治家としての仕事を全うしてくれれば、多少ほかの部分は欠落していてもいい、という寛容さがあるのだろう。
実際、現大統領のニコラ・サルコジ氏も現在の配偶者は3人目。前妻とはダブル不倫の末の結婚。現妻は元トップモデル、と浮名を流しまくってきた。
しかしたとえ、エロオヤジだとしても、内政外交にしっかり取り組み、国民を路頭に迷わすことなく、幸福をもたらしてくれるのであれば、政治家としてはそれでいいような気がする。政治家は、政治をしてくれればいいからだ。
日本でも写真週刊誌『FOCUS』誌などが登場する80年代以前は、艶福家でも愛人がいても抜きん出た能力があれば、首相になることは可能だった。
しかし、「センセイ」や「ロチュー」が大きな問題として取り上げられてしまういまは、善し悪しはさておき、そんな柔軟さはなくなってしまった。
さて、5月16日早朝に飛び込んできた大きなニュースは、国際通貨基金(IMF)トップの専務理事でドミニク・ストロスカーン氏が強姦未遂などの罪で逮捕、訴追されたというものだ。
1997~1999年にフランス財務相を務め、来年のフランス大統領選では、サルコジ大統領の最大のライバルの一人とされていた要人だ。
謀略説も飛び交う中で、今後、ストロスカーン氏の動向に注目が集まるが、さすがに犯罪者となれば、いかにフランス国民やメディアといえども、大統領に就任させるだけの鷹揚さは持たないかもしれない。
ただ、究極の選択としてみれば、どこかの国にいる、正義派気取りでも能力がまったくないリーダーよりは、ずいぶんましのような気もするのだが…。
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