ギャップ社のマーケティング
米国ギャップのセカンダリーラインである「オールドネイビー」が2012年末までに日本上陸を果たすことは、ご存知の通りだ。
すでに、「プレミアムアウトレット御殿場」(静岡県)のアウトレットストアなどでは、試験的に「オールドネイビー」商品の品揃えをスタートさせている。
ギャップ社の低価格業態である「オールドネイビー」は、1994年に第1号店を出店。以来、北米に1027店舗(2010年度)を展開し、既存店舗は対前年度比で2%増。「GAP」「バナナリパブリック」を凌駕する売上を計上するブランドとして店舗とオンラインショッピングとの2本立てで着実に成長している。
2010年度の売上高は53億7000万ドル、とギャップ社全体の売上高の37%を占めるに至る。ギャップ社の現段階における成長エンジンを満を持して日本にも投下するわけだ。
ただ、企業としてのギャップ社の業績は芳しいとは言えない。
2011年度第2四半期までのアメリカ国内売上高は、「GAP」が対前期比5.4%減、「オールドネイビー」が同1%減、「バナナリパブリック」は同1.4%減という体たらくぶりだ。
そこで、ギャップ社が現在、注力しているのは、国内市場の維持・深耕と海外市場の創造である。
国内市場では、2010年5月に女性のスポーツ・アクティブ衣料の「アスレタ」(ATHLETA)をカリフォルニア州ミルバレーにオープン。2011年1月には旗艦店舗をサンフランシスコに開業し、第4番目のブランドとして育成に努めている。
また、カナダ、ヨーロッパ、アジアという国際事業とオンラインショッピング事業を推進することで、継続的成長の維持にも取り組んでいる。
日本市場への「オールドネイビー」の出店は、その一環である。
日本のほとんどの小売業は、少子高齢化で縮小する国内市場といかに向き合うかが問われている。それは、成熟市場という意味合いにおいて、ギャップ社の置かれている状態と似たり寄ったりだ。
ということは先達であるギャップ社の動向は、ベンチマーク先としてとても参考になるということだ。
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