スポーツ界の快挙、愚挙
スポーツ界では、「あっぱれ!」が連発。思わず快哉を叫びたくなるようなドラマが続いた。
3月26日は、ヴィクトワールピサ(牡4歳)だ。これまで日本のGⅠ級16頭の優駿が挑戦して苦杯をなめ続けた世界最高峰の競馬レース「ドバイワールドカップ」で見事優勝。賞金600万ドルを獲得した。
騎乗した親日家のミルコ・デムーロ騎手(伊)は、「レース前は日本のために祈っていた。日本を愛してます。アリガトウ」(『日刊スポーツ』3月28日)と涙ながらに語った。
2つめはカズだ。3月29日、日本代表対Jリーグ選抜の東日本大震災復興チャリティマッチで、44歳の三浦知良選手(横浜FC)がゴールを決め、カズダンスを舞った。
「本当にみんなの気持ちがひとつになったゲームだった。全員で力を合わせたチャリティーゲーム。東北の皆さんに気持ちが届くことを祈る。届いたと思う」(『デイリースポーツ』3月30日)と談話を残した。
まるで夢のような奇跡――。
もし、これが平時であれば、両方とも、一般紙の一面を堂々と飾っていたに違いない。
やっぱりスポーツはいい。日本に元気を与えてくれる。
開催を危ぶまれた第83回選抜高校野球は、東海大学付属相模原高等学校(神奈川県)の圧勝で幕を閉じた。被災地域から参加した高校には負けても惜しみない声援が送られた。
高校球児の懸命なプレーは被災者の方々に大きな力を与えることができたかもしれないし、高校球児は野球ができることの有り難さをつくづく実感したことだろう。
それに引き換え、大相撲は…である。本来であるならば、国技である大相撲が真っ先に日本を盛り上げる役割を果たすべきなのであろうが、依然として八百長問題を解決できないままだ。
にもかかわらず、5月の夏場所を「慈善場所」として東京両国国技館で開催する方針を固めたという。実は、発表前からチケットを印刷していたとの話もある。
東日本大震災のドサクサに紛れた愚行であり、日本相撲協会の問題の根深さをさらに露呈させた。情けない限りである。
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