緊急報告 イオン入社歓迎の集い 岡田元也社長が語りかけたこと(2)
次に、これからのイオンについて話をしたい。
まず、2012年2月期は、東日本大震災の被害やそこから派生する問題について、みなさんを含めた全員で乗り越えていく。業績目標は、東日本大震災が起こる以前、期首に設定した数字を変えない。
3年後に6兆円の売上規模を持つグループになる目標は変えないということだ。
ということは、被災エリアの分を海外事業も含めたその他のエリアがカバーしなければいけない。
そのために実施することを話したい。
まず全ての店舗を(1)東北・北関東の被災エリア、(2)東京電力管轄の電力不足エリア、(3)海外を含むその他のエリアに3分類して、それぞれに対策を打つ。みなさんは、必ずどこかに配属になるはずだ。
(1)被災エリアでは、いち早い正常化を目指す。回復を第一に考えるが、回復のプロセスは、被害状況によって、地域ごと、店舗ごとに全く異なるものだ。
また、回復過程に入るとお客様のニーズも時間軸で変化する。お客様のそんな千差万別のニーズにこたえなければ復興の役に立っているとはいえない。イオンは地域復興の先頭に立ち、直接貢献したい。だからお客様の今後の変化に対応することに留意したい。
(2)電力不足エリアでは、節電協力を求められるようになるので店舗は、これに向けて知恵を出したい。
また電力不足によって暑い夏になることが予想される。ただ、厳しい環境でも少しでも快適に過ごしたいという欲求は高まるはずだ。そうした新しいニーズに対して新しい提案をしっかりしたい。 イオンは安心・安全ではお客様からずいぶんと信頼をされるようになった。その信頼を裏切らないように、また買い占めやパニックが起こらないように商品を安定供給し正しい情報を伝えることが大事だ。
いまはお客様の立場が弱くなっている。我々は、お客様に「売ってやる」とならないように正しい商法に努め、品薄の商品でもいつもの価格で売り続けたい。そのなかで極力、ふつうの楽しい、快適な生活の提案をしたい。
(3)その他のエリアでは、被災エリアへの深い同情を持ちながらも、普通どおりの生活をしている。そのふつうの生活のニーズに応えることが大事だ。
日本のGDP(国民総生産)の60%は個人消費だ。お客様が商品を購入されないと日本の経済は復活しない。被災エリアを支援するおカネも生み出せない。
合理的に考えれば、このエリアでの節電はあまり意味がない。だから、消費を増加させ、間接的に被災エリアを復興させることに注力したい。
こうした企業活動は、日本を救う正しく重要な仕事だと思う。期首目標を達成させるためには、たくさん売らなければいけない。
千田直哉の続・気づきのヒント の新着記事
-
2024/09/02
魅力的な売場…抽象的な誉め言葉の意味を明確化するために必要なこととは -
2024/08/02
日本酒類販売社長が語る、2023年の酒類食品流通業界振り返り -
2024/07/03
「何にでも感激する経営者」の会社が業績が良い“意外な”理由 -
2024/06/07
経費率16%なのに?ローコスト経営企業が敗れ去るカラクリとは -
2024/05/23
キットカットをナンバーワンにしたマーケター「アイデアより大事なこと」とは -
2024/04/15
スーパーマーケット業界のゲームチェンジャー、オーケー創業者・飯田勧氏の経営哲学とは