企業規模を拡大しない、という生き方

2011/06/13 05:16
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 企業は拡大し続けなければならない。

 従業員には年齢に応じたライフスタイルがあり、結婚して、家族を持ち、両親の面倒を見て、自分の子供が独立する辺りまでは“入用の日々”が続く。そして企業はこの要求に応えなければいけない。

 だから企業は対前期比主義で予算を組み、継続的出店やM&A(合併・買収)を繰り返すことで規模拡大に努める。

 

 と2010年2月12日のBLOGに書いた。http://diamond-rm.net/articles/-/3614

 

 

 ところが、「企業規模を拡大しない中で生き残りの道を探りたい」と言う企業が出てきた。

 

 北海道苫小牧市に本部を構える豊月(豊岡憲治社長)である。2011年1月期の売上高は202億円(12店舗)。従業員数は983人(正社員129人、パート社員854人)という中堅規模の企業だ。

 

 実は、同社は創業以来25年にわたってディスカウント販売を実践してきた。

 しかしながら、ここ10年はアークス(北海道/横山清社長)、コープさっぽろ(北海道/大見英明理事長)、イオン(千葉県/岡田元也社長)グループの3社の低価格訴求に押されっぱなし。また、ハードディスカウンターであるトライアルカンパニー(福岡県/永田久男社長)の進出などで、道内に低価格が定着してしまい、「低価格=競争力」とはならなくなってきた。

 

 そこで同社は、高質スーパーとディスカウント販売を融合させた「クオリティ&ディスカウント」というフォーマットを新たに開発。3店舗を展開するに至っている。

 

 「クオリティ&ディスカウント」は、従来のディスカウント販売との比較では、売上高は落ちるが、付加価値の高い商品を売るので営業利益は増加するというフォーマット。

 

 今後、同社は、企業規模が縮小する中でも何とか利益を捻出し、出店も積極的にはしない。

 

 その姿は、家族経営で何とか糊口をしのぐパパママストアを彷彿させる。

 

 そして、今後は豊月のような規模の“パパママ食品スーパー”のような企業がいたるところに出てくる可能性は大きい。

 もし、そうなるとするならば、企業の淘汰数は減少し、業界は寡占化に向かわないかもしれない。

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