名は体を表さない
「名は体を表す」という。
元プロ野球選手の中西太さんの丸々した体形はいかにも「太」だし、元横綱の武蔵丸光洋は「武蔵坊弁慶」を彷彿させるし(“武蔵丸”の由来は所属の武蔵川部屋の武蔵に本名フィヤマル・ペニタニのマルをつけたと言われる)、日本中央競馬史上6頭目の三冠馬になったディープインパクトのゴール前の豪脚は「凄い衝撃」を与えてくれるなど、確かにそうした傾向はあるのだろう。
しかし、「名は体を表さない」という逆説的な見方も成り立つのではないかと考えている。
名前を「名付け親が『そうあって欲しい』と願う希望や目標の言霊」ととらえれば、現時点では不足しているということになり、名前と実態は合致していないことになるからだ。
たとえば、「ダイエー」という企業名は、中内功が創業した「大栄薬品工業」から取ったものだ。
では、なぜ、“大栄”(=ダイエー)だったのか?
中内功の祖父“栄”(さかえ)の名に由来する家業の「サカエ薬品」を父秀雄が実弟の博に継がせてしまった悔しさを表現したものと思われる。“大栄”とは、「サカエ薬品」よりも大きくなってやる、という中内功の負けず嫌いと目標を表した企業名であり、創業時点の実態は“小栄”だったわけだ。周知の通り、ダイエーの場合は、そこからのふんばりと努力で見事に「名は体を表す」まで大きな成功を収めた。
しかしながら、そうしたケースは案外、マレなのではないだろうか?
へそ曲がりな見方でお恥ずかしい限りなのだが、企業名、人物名、施設名、商品名…実はどれをとっても、名前と実態は合致していないばかりか、逆のことすら多い気がする。
名前と実態との関係を検証してみると、いろいろな発見があり、面白いので、もし興味があれば、一度、試してみて欲しい。
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