カインズ流 デザイン経営宣言!
カインズ流 デザイン経営宣言!
カインズ(埼玉県/土屋裕雅社長)は、大手メーカーとのコラボ商品を集めた「カインズデザイン展」(@二子玉川ライズ)を開催した。
同社はこれまでも、メーカーと組んで、“限定容量”や“独自の香り”などの商品を開発してきた。今回のコラボでフォーカスしたのは「デザイン」だ。
なぜ、「デザイン」に焦点を当てたのだろうか?
現在、PB(プライベートブランド)を含む同社のオリジナル商品は、売上構成比率の40%、商品構成比率の10%になっている。
それらのパッケージデザインは、社内での話し合いの中で決められているので、売場に並べたときや家庭で使用するときにも、ひとつの世界観を再現できる。
ところが、ここにまったく違うアプローチでデザインされたNB(ナショナルブランド)商品が差し込まれてしまうと、同社の売場や利用者の生活空間の雰囲気は一変。チグハグしたものになってしまうのだという。
「NBは棚の中で目立たせなければいけない側面があるから、“売るためのデザイン”が必要かもしれない。しかし、ファンの多いブランドであれば、もはや“売るためのデザイン”はそこまで重要ではないかもしれない。だから、それを一旦置いていただき、当社のオリジナル商品とマッチするように、デザインを再考いただけませんか、とお願いしたのです」(土屋社長)。
メーカーからの反応はよく、実に21社と取り組むことになった。
たとえば、P&G(プロクター・アンド・ギャンブル) ジャパンとは、自然派の柔軟剤「レノアハピネス」で同社とコラボしている。
今回、展示されていたのは、既存のパッケージの上にカインズのPBをイメージしたステッカーを貼るというもの。「初めての取組みということもあり、カインズさん仕様のステッカーを用意させていただいた。将来的には、カインズさん仕様のパッケージを考えてほしいという宿題をいただいている」(P&G)。
もうひとつ。目からうろこだったのは、ネット通販の普及で箱買いの可能性が大きいビールやお茶、水などを梱包しているダンボール箱のデザインだ。
アサヒ飲料と組んだ「ウィルキンソンタンサン 500ml×24本」のダンボール箱は「木目の宝箱調」のデザインになった。「茶色のダンボールをキッチンやリビングにそのまま置いてしまうと、それだけで部屋の雰囲気は壊れてしまいがちだが、こうすることで解決の一助になりそう」(カインズ)。
「デザイン展」の構想があがったのが去年の秋くらいのことなので準備期間は8ヶ月とほぼ突貫工事だった。しかし、第1回の「カインズデザイン展」では、「ナチュラル」や「ボタニカル」といったカインズのコンセプト提示を受ける格好で約100の商品が集まった。
いみじくも、経済産業省と特許庁は「デザインを重要な資源として活用する」ことを主旨とした「デザイン経営宣言」を公表。ブランド力とイノベーション力を強化することで企業競争力を向上させたいとしている。
カインズ流のデザイン経営宣言ともいうべき「カインズデザイン展」。同社は、こうした展示会を年間2回ほどのペースで開く予定だという。
千田直哉の続・気づきのヒント の新着記事
-
2024/09/02
魅力的な売場…抽象的な誉め言葉の意味を明確化するために必要なこととは -
2024/08/02
日本酒類販売社長が語る、2023年の酒類食品流通業界振り返り -
2024/07/03
「何にでも感激する経営者」の会社が業績が良い“意外な”理由 -
2024/06/07
経費率16%なのに?ローコスト経営企業が敗れ去るカラクリとは -
2024/05/23
キットカットをナンバーワンにしたマーケター「アイデアより大事なこと」とは -
2024/04/15
スーパーマーケット業界のゲームチェンジャー、オーケー創業者・飯田勧氏の経営哲学とは