一流店が実践!繁盛店に共通する「想定外の体験」とは何か?

成田直人

リアル店舗の勝機は、「想定外」にある!

Tomwang112/istock
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 その秘密について話をする前に、より理解がしやすいよう「なぜ店舗からお客さまが消えたのか?」から順を追って話をします。

 私は、「店舗で買うことにワクワクしなくなったからだ」と分析しています。つまり、「店舗が顧客の期待に応えられなくなったから買い物はつまらないものになった」ということです。

 例えば、アパレルであれば「すぐに声をかけてきてうっとうしい」というお客さまの気持ちを無視した旧来のアタック型接客がいまだ中心です。かといってお客さまが「こういうことを知りたい」と思っている時には、すでに近くにはいない。

 このように顧客の感情や気持ちに寄り添えない、ネガティブな顧客体験のせいで、顧客はますます誰にも邪魔されないオンラインへとシフトしていったわけでs。もしかしたらあなたもここ数年でオンラインショッピングの割合が増えたのではないですか? 欲しいものを買うのであればオンラインで十分、そう市場は認識し始めたのです。

 ではリアル店舗は何を目指せば良いのでしょうか? それが、今回の寿司店で「次回の予約をしてしまった仕掛け」にあります。欲しいものを買うのであればオンラインで十分なわけですから、店舗を引き続き利用してもらうためには「欲しいもの以上の結果」をお客さまが手に入れられるようにすれば良いのです。

 これを私は「想定外」と呼んでいます。「よい意味でのサプライズ」と言い換えてもよいでしょう。

 私は寿司店に入り、ランチコースを今か今かと待っていました。お茶が出てきて、寿司が1カン運ばれてきました。早速頬張ると「うまい、超うまい!」そりゃそうだ、富山県で1番の繁盛店なんだから。

 終始クライアントとうまいうまいと食べていたのですが、クライアントがふと、ある一言を口にしました。「この粘りどうやって作ってるんだろう・・・」と。

 そこで大将の目つきが変わり「実は・・・」と寿司の話が始まったのです。ここに一つ隠れたポイントがあります。それは知識や経験をただ自慢げに話すのではなく、顧客同士の会話の中で「問い」が生まれた瞬間に動いたという点です。聞かれもしないのに、うちの寿司は熟成しててうまいんだ!と喋ったわけではありません。顧客の頭の中に生まれた問いに素直に答えたから、こちらもスムーズに聞き入れることができたのです。

 そして、ワンポイントのこだわりフレーズがあるのです。「こちらは2週間熟成させているので粘りがあります。噛んだ時に感触がありますよね。全く硬くない、なぜなら、50度で細胞を壊しているからです。」とくるわけです。「なんじゃそりゃ〜(感嘆の声)」となりますよね?

 問いに答えるだけなのは想定内です。そこに全く想像つかない工程が入り感動へと変わります。おっと、興奮して書いていたら長くなり過ぎましたので、続きは次回の連載でお伝えします。

 

 一流店が提供する「想定外」の顧客体験ですが、これを皆さまの店舗でも、“ねらって”実践する方法があります。それもマインドセットのやり方から、教育、実際のやり方までの体系化された具体的な手法です。。僕の新刊「勝手に売れ続ける最高のセールス」を読むと、オンラインにはない価値を磨き上げた、強い店舗をつくることができますので、ぜひご覧ください。

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