バロックジャパンリミテッド 代表取締役社長兼最高経営責任者 村井 博之
商品開発力と販売力を武器に、国内市場の深耕と海外展開を進める
──米国事業はどう進めますか。
村井 米国には16年ニューヨークに2店舗出店しました。2年間はどのようなビジネスモデルで展開するのかを検討する観察期間としています。3年後からビジネス展開を本格的に加速させて、売上高数百億円をめざします。
当社はブランド価値を高めるために、品質やデザインだけでなく、ファッションモデルにも投資を惜しまず、世界を代表するスーパーモデルやカメラマンを起用してきました。この地道な努力が認められ、ニューヨークのあるファッション誌でユニークなブランドとして高く評価されました。現在はニューヨーク在住のアジア人や中国人観光客が主な顧客となっています。今後さらに幅広い層のお客さまに受け入れていただけるブランドをめざします。
フォロワー5万人超、SNSを活用した情報発信
──EC事業はどのように考えていますか。
村井 EC事業は販売員のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)での情報発信力を活用しています。販売スタッフはブログでの発信に加えて、写真共有アプリのInstagram(インスタグラム)を利用しています。
カリスマ店員たちはインスタグラムで数多くのフォロワーを獲得しています。たとえば、「リエンダ SHIBUYA109店」の和田有沙が7.6万人で、「マウジー キャナルシティオーパ店」の林田真梨絵が5.4万人。昔のカリスマ店員は接客力が特徴でしたが、1人で5万人以上のフォロワーを持つ高い情報発信力が現代のカリスマ店員の特徴です。
また、EC事業のユニークな取り組みとして、ウェブストアと連携した通販型ファッションマガジン「SHEL'TTER(シェルター)」があります。「シェルター」は07年に創刊した有料の通販カタログで、500円(税抜)で販売しています。現在、約5万部発行しており、新刊を発売した週はコンビニエンスストアの売上トップ5に入るという人気雑誌になっています。
今のところ、EC事業の売上は全体の10%以下です。当面の目標として20%超えをめざしています。現在、SNSと通販を一体化したプラットフォームを構築しています。SNSとECサイトを連携することにより、当社の強みである販売スタッフの発信力を最大限生かすことができます。これが実装されると、ECの割合が高まると期待しています。