バロックジャパンリミテッド 代表取締役社長兼最高経営責任者 村井 博之
商品開発力と販売力を武器に、国内市場の深耕と海外展開を進める

2017/02/01 00:00
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──自社の強みをどうとらえていますか。

 

村井 われわれの強みは、「商品開発力」と「販売力」の2つです。

 

 商品開発力のポイントは大きく分けて3つあります。1つは、当社が企画・製造・販売を行うSPA企業であることです。ほかの小売業から「商品開発に人件費をかけるのはもったいない」と言われたことがありますが、むしろそこに投資すべきだと考えています。100人以上の企画・生産チームで、競争力のある商品の開発に取り組んでいます。

 

 2つめは、販売員出身のデザイナーが商品開発をしていることです。一般の衣料品小売業のように、デザイナーとしての専門知識を身に付けた、いわゆる商業デザイナーが企画するのではなく、店舗で現場を経験した販売員出身のデザイナーが商品を企画します。販売員としての経験を積んだデザイナーは、お客さまがどういうものを好むか、どのような価格であれば売れるかを肌感覚で知っています。ですから、お客さまが買いたいと思うような価格を設定し、コストパフォーマンスのよい商品を開発することが可能となるのです。

 

 3つめは、「多品種少ロット」という欧州型ファストファッションの生産方式を取り入れたことです。日本でファストファッションというと「ユニクロ」に代表される、1つの商品を大量生産し、安く販売する「少品種多ロット」が主流でした。これに対して、われわれは「H&M」や「ZARA」と同じように、品種はたくさんありますが、1つの商品当たりの生産量は多くありません。「多品種少ロット」モデルによって、毎週新作が出る「52週MDメニュー」が可能となりました。

 

──在庫や生産コストはどのように管理していますか。

 

村井 在庫はできるだけ抱えず、売り切ることが大事です。多くのアパレル企業は1つの商品を大量に生産し、売れ残るとセールを実施します。それに対し、当社は極力セールを行いません。1万円で買った商品がセールで7000円になっていたりするとがっかりしますよね。それはお客さまの信頼を裏切ることになります。ですから、在庫をできるだけ抱えないように、製販調整をこまめに行います。過去の販売実績に加えて、日々の売上、天候予測などについて毎週会議を行い、2週間に1度製造の方針を変更します。言ってみれば、お客さまに惜しまれながら完売することが目標です。

 

 生産コストについては、適正化を図るため、高級デニムや「エンフォルド」を除く、全体の8割以上は中国で生産しています。中国の店舗にとっては地産地消となり、物流コストも抑えることができます。

 

1億円を超えるボーナスも、やりがいを高める人事制度

──もう1つの強みである販売力のポイントは何ですか。

 

村井 販売員のモチベーションの高さです。この会社に入社したとき、服に対する社員の情熱の強さに驚きました。それまでいくつかの企業に勤めてきましたが、過去のサラリーマン経験のなかでも、これほど皆が一生懸命仕事をしている組織は初めてでした。そのモチベーションの高さがカリスマ店員を生み出し、強い販売力につながっています。

 

──どのようにして社員のモチベーションを高めていますか。

 

村井 社員が仕事にやりがいや高揚感を感じるような職場づくりに取り組んでいます。当社には販売員出身のデザイナーやクリエイティブディレクターがたくさん活躍しています。販売員の入社時の給料は他社よりも特別に高いわけではありませんが、「スライ」の植田みずきや「rienda(リエンダ)」の中根麗子など過去に活躍した販売員出身のデザイナーたちには社長よりも高い賞与を支給したことがありました。賞与の最高額は1億円でした。それを見ている販売員は、「自分もいつかそういう立場になりたい」と夢を追いかけて仕事に取り組んでいます。

 

 また、人事制度としては、社員を早く昇進させることで働くモチベーションを高めています。25歳で店長、30代でエリア部長、早い場合には30代後半で執行役員になることもあります。1000円のベースアップよりも昇進チャンスがたくさんあればみんな頑張ります。新しいポジションになってから2年ほどで昇進させると、社員はやりがいを感じ、仕事への情熱が高まります。

 

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