日本生活協同組合連合会 専務理事 矢野和博
生協が存続し続けるためのマーケティング力が問われている

2012/11/01 10:00
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──組合員の年齢や性別などの属性を踏まえたデータ分析が可能になるのですか。

 

矢野 細かい属性まではわからないのが現状です。生協に入会するとき、申し込み用紙に氏名や住所などを必ず記入してもらうのですが、生年月日などは任意記入であることが多いためです。現状は、加入年数で年齢を推測するしかありません。

 

 組合員の年齢層ごとにマーケティングを行うためには、会員生協が属性調査を行わなければなりません。正確な属性をつかむ必要性を感じている会員生協も多く、最近では入会時や「eフレンズ」登録時に記入必須の項目を増やしているようです。こうした情報をマーケティングに生かす仕組みをつくることが必要でしょう。

夕食宅配が拡大すれば日生協は支援する

──シニア世代の組合員を獲得するために、夕食宅配事業を始める生協も増えています。

 

矢野 地域生協の夕食宅配事業は、1日当たり約5万食を超えるまで拡大しています。日生協では、夕食宅配を行っている会員生協の担当者が情報交換できる場を提供するとともに、これから始めようとしている会員生協に、成功している事例などを紹介しています。

 

 現在は各生協が地域の弁当工場に製造を依頼し、組合員の自宅に届けるというかたちが多いのですが、受注件数が増えてくれば、将来的にはいくつかの生協が共同で弁当を調達または製造する可能性もあります。そのときには、日生協が投資して、工場を設置することも考えられるかもしれません。

 

──今後ますます競争が激しくなってきます。競争力強化も目的に、生協同士が合併するケースが増えてきました。

 

矢野 今年10月5日に、ユーコープ事業連合のコープかながわ(木下長義理事長)とコープしずおか(中川浅行理事長)、市民生協やまなし(大塩祐治理事長)が正式に経営統合することを決めました。また、コープネット事業連合のコープとうきょう(上原正博理事長)とさいたまコープ(佐藤利昭理事長)、ちばコープ(田井修司理事長)が合併を計画しています。これにより総事業高の合計が2090億円と4909億円の2つの巨大生協が誕生します。

 

 ユーコープ事業連合とコープネット事業連合では、それぞれ機能統合を進め、一定の効果を上げています。いままでは協力関係はあるものの、組合員の管理や資金の使い方、人材活用については各生協で行っていました。合併後はすべての面で一体化して事業を推し進めていくことになるので、戦略的な事業投資ができるのは確かだと思います。

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