加藤産業代表取締役社長 加藤和弥
特定商社の色が強くなれば、デメリットのほうが大きい

2010/10/14 00:00
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 先行き不透明な状況が続いていますが、業務の効率化により足場を固めていく方針です。売上は厳しく10年9月期も第3四半期まで微増収でした。ただ、なんとか増益で着地できそうな見通しです。

小売業・食品メーカーにどんな価値を提供できるか

──三菱商事系の食品卸売業4社が経営統合に向かうことになりました。この動きについて、どのように見ていますか。

 

加藤 4社はいずれも三菱商事さんの連結子会社ですから、それらが一緒になることについては、それほど驚くようなことではないと思います。

 

──4社が経営統合すると単純合算で売上高は2兆円超で、最大手の国分(東京都/國分勘兵衛会長兼社長)を抜いて断トツの規模になります。脅威はありますか。

 

加藤 4社のうち最も規模が大きい菱食さんで売上高1兆4000億円弱。当社の2倍もの売上規模です。今度は4社がまとまって、さらに大きくなりますが、すで

 

 規模の差はかなりあるわけで、脅威の度合いが極端に増すかと言えば、決してそのようなことはないでしょう。

 

──総合商社の住友商事(東京都/加藤進社長)、三井物産(東京都/飯島彰己社長)、三菱商事からそれぞれ出資を受けられています。総合商社との関係についてはどのように考えていますか。

 

加藤 基本的なスタンスには、各社と一緒にできることがあれば積極的にやっていきたいと考えています。どの総合商社も得意な分野がありますから、協力していただける部分があればお願いしたいという姿勢です。

 

 ただ当社は得意先や仕入れ先に、どのような価値を提供できるのかを考えながら、つねに事業展開しています。その中で、特定の総合商社のカラーがついて、それが濃くなることのメリットがある一方でデメリットも存在します。現時点ではデメリットのほうが大きいと判断していて、今のようなスタンスをとっているわけです。繰り返しになりますが、総合商社は大きな力をお持ちなので、いろいろな関係をつくっていければと思っています。

 

──特定の総合商社との関係が強まることによるデメリットとはどのようなことですか。

 

加藤 たとえば、一つの総合商社のカラーが濃くなると、他の商社とつながりの強い小売業とは取引がしにくくなります。また得意先の中には、総合商社系の食品卸売業を好まない経営者もいらっしゃいます。そういった視点に立つと、現時点ではデメリットが多いという判断なのです。

 

──三菱商事系の4社のほかにも、伊藤忠商事系列に日本アクセス(東京都/田中茂治社長)と伊藤忠食品(大阪府/濱口泰三社長)の2社があります。今後、総合商社系列の食品卸売業がまとまっていく可能性はどう見ていますか。

 

加藤 可能性ということであればあるでしょう。伊藤忠商事さんが、2社が一緒になったほうがいいと考えれば、一緒になるでしょう。ただし、あくまでも得意先があってのことになりますから、一緒になるのもデメリットを上回るメリットを見出すことができれば、ということになるとは思います。

 

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