M&Aとは?買収だけがM&Aじゃない?!メリット、デメリットなどを徹底解説!
M&Aとは
M&Aとは、Mergers and Acquisitionsの略称で、「合併と買収」を意味している。ビジネスの世界では、企業の合併および買収、さらに広義では業務提携や資本提携までM&Aの概念に含まれる場合がある。
合併は複数の企業が統合して、ひとつの会社になることである。そのため、合併された企業は消滅することになる。買収は経営権や事業の買取であり、買収される側の企業はそのまま存続する。一定数以上の株式を持ち経営権を取得した企業は、取締役の選任など経営権を行使できる。事業譲渡では、事業に関わる商品や工場、営業施設、財務資産など有形のものから人材、取引先、ブランドや特許など知財、ノウハウなど様々な無形の経営資源までが買収の対象となる。
M&Aには、これまで”乗っ取り”や強引な競争企業の排除といった悪意を感じるイメージが強かったが、近年はイメージに大きな変化が生まれている。わが国の中小企業経営者の高齢化が進み、後継者が見つからないという問題がクローズアップされており、その問題を解決する手段としてM&Aが注目されているためである。
M&Aの形
合併の場合、吸収する側の企業が吸収される側の企業の全てを統合する形となり、後者は存続せず消滅することになる。場合により、新たに設立した会社を存続会社とする「新設合併」という方法もある。なおM&Aを実行する際には、様々な関連する法律がある。主なものとしては独占禁止法、会社法、金融商品取引法、労働契約法、産業競争力強化法、税法などが挙げられるが、M&Aの方法や当事者の企業規模により、関連する法律の数は大きく変わってくる。
M&Aの方法
M&Aの内、吸収合併は合併会社と被合併会社の間で合併契約を作成、締結することで成立する。一方、買収の場合は経営権を得るために株式を取得するが、その方法には株式譲渡、株式交換、第三者割当増資がある。また事業を切り分けて買収する方法に、事業譲渡、会社分割がある。
M&Aで得られるメリット
M&Aを仕掛ける側のメリットとしては、海外進出の拠点づくり、同業種企業のM&Aでは競合企業の削減とスケールメリット追求、関連技術やノウハウの獲得による競争力の強化などが挙げられる。また新市場への参入に際しては、先行企業のM&Aで迅速な事業の立ち上げが可能となる。
その他にも、メーカーが垂直統合などのM&Aでサプライチェーンを強化、特定の知的財産を含む技術や人材の獲得、投資利潤の獲得など様々なメリットが想定できる。
M&Aを求める側の主なメリットとしては、事業の立て直しや後継者の確保、長期的な事業に対する不安の解消、創業者利益の確保などが挙げられる。また、ベンチャー企業が事業を大きく育てるために、経営資源の強化を目的としてM&Aを求めるケースもある。
M&Aで生じるデメリット
M&Aで生じるもっとも大きなデメリットは、期待していたメリットが得られないことである。買収や合併に投じた資金の回収が困難になるなど、経営のリスクが生じることになる。また、M&A以前では確認できなかった相手企業の債務、他企業との業務関係などが発覚し、新たな課題を抱える可能性もある。
その他にも、既存の取引先への影響、従業員のモチベーションへの影響、優秀な人材の流出などの懸念が想定される。
M&Aの実例
ここでは、海外でM&Aを積極的に展開しているダイキン工業(大阪府)と、国内における中小企業の実例を紹介する。
海外事業の展開事例
ダイキン工業は、海外企業の買収によって空調機関連事業を拡大してきている。近年でも、2017年にアジア・オセアニアでのサービス・ソリューション事業強化に向けてオーストラリアのエアマスター社と買収契約を締結している。エアマスター社は大規模ビル向けの大型空調機サービスにおける有力企業であり、ビル用マルチエアコンなど中小規模ビル向けの商品が中心のダイキン工業とは異なる市場に強みを持つ。それぞれが持つサービスと機器のノウハウを共有し、ダイキンは中小規模ビルでのサービス・ソリューション事業を本格展開、エアマスター社はダイキンの大型空調機販売の拡大を図っていく。
国内中小企業の事例
中小企業のM&Aが注目されている今日、中小企業白書では様々な目的に応じたM&Aの事例を紹介している。ここでいくつかの例を紹介する。
包装資材事業を展開している島根県のタカハシ包装センターは、首都圏進出に際して不足する人的資源を首都圏同業者のM&Aにより補っている。
東京都の業務用機械器具を製造するエミックは、かつて協力関係にあった同業者が業績不振に陥り、要望に応じて事業を買収したことで自社の事業が拡大している。
佐賀県の食品製造業である萬坊は、工場設備の老朽化対策などの設備投資が困難な状況であり、経営基盤の安定化と成長のためにM&Aを受け入れ、他社の子会社となる決断をした。