キャッシュフロー(CF)とは?PL/BSと合わせて見ると何がわかる?徹底解説!

読み方:きゃっしゅふろー
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キャッシュフロー(CF)とは

 キャッシュフローとは、現預金などキャッシュの収入・支出に関する流れである。上場企業にキャッシュフローの開示(公表)が義務付けられたのが2000年、損益計算書(PL)・貸借対照表(BS)に次ぐ「第3の決算書」にキャッシュフロー計算書が加わった。

キャッシュフロー
キャッシュフローとは、現預金などキャッシュの収入・支出に関する流れである。 i-stock/z_wei

 一般的には、会社の利益=キャッシュフローととらえられがちだが、実は違う。たとえば住友商事の2021年3月期における当期純利益は1531億円のマイナスだが、キャッシュフローは4670億円のプラスだった。穀物や資源の市況低迷による評価損が利益の足を引っ張ったが、評価損はキャッシュ増減に影響を与えないからだ。

 ではなぜ、キャッシュフローは大切なのか。キャッシュは、企業活動を動かすいわば「血液」だ。キャッシュが現場までいきわたらなければ、設備投資やM&A(合併・買収)はもちろん、商品の仕入れすら滞ってしまう。経営において利益確保はもちろん大事だが、企業活動を支えるキャッシュフローのコントロールも怠れない。両者は経営を支える車の両輪なのだ。

キャッシュフローのメリット

メリットのイメージ
キャッシュフローのメリットは、企業の経営破たん・危機リスクの未然防止にある。

 キャッシュフローのメリットは、企業の経営破たん・危機リスクの未然防止にある。

 意外に思われるかもしれないが、企業というものはたとえ赤字が続いたとしてもキャッシュさえあれば倒産しない。逆に黒字であっても、キャッシュが尽きれば倒産することもある。俗に「黒字倒産」「勘定合って銭足らず」などと呼ばれるものだ。

 損益計算書から読み取れるのは利益だけで、キャッシュはつかめない。貸借対照表ならストックとしてのキャッシュとその内訳がわかるが、フローとしてのキャッシュまではわからない。だからこそ経営には、損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書の3つが必要なのだ。

 経営破たん・危機防止から一歩踏み込み、キャッシュを増やす「もうかる経営」にもつながる。キャッシュフロー計算書は、企業活動を営業・投資・財務の3つに構造化し、それぞれのキャッシュ増減に基づきキャッシュ動向を分析する。

 具体的には、以下のサイクルで持続的な成長が可能になる。

財務キャッシュフロー+:増資・借入でキャッシュを調達する

営業キャッシュフロー+:商売で稼ぐ

投資キャッシュフロー:稼いだキャッシュを将来の投資につぎ込む

営業キャッシュフロー+:稼ぐ力が強まりキャッシュがさらに増える

財務キャッシュフロー:稼いだキャッシュを株主に還元する

キャッシュフローのデメリット

 キャッシュフローのデメリットは、先を見通す力が弱い点にある。「Cash is reality, profit is a matter of opinion(キャッシュは事実、利益は意思)」とされるように、キャッシュフローは現時点での事実をつかむのに威力を発揮する。では、先を見通す力はどうか。

 企業を買収したのに思ったように成果が出ない、新商品が売れずに在庫を廃棄……企業活動にはさまざまなリスクがつきまとう。だからこそ企業は将来のリスクを見通し、減損会計や引当金といった処理を通じ、損失として損益計算書・貸借対照表に織り込むのだ。

 キャッシュフローが事実をつかみ、損益計算書・貸借対照表が将来を見通すことで、3種類の決算書がお互いを補完しあいながら経営を支える。

キャッシュフローの実例

 キャッシュフローの実例として、ソニー(東京都)のキャッシュフロー経営を取り上げる。ソニーのキャッシュフロー経営は、単年度ではなく3年間を1スパンとする。

 多くの企業は単年度利益に縛られ、収益確保のためにコスト削減・人件費カット短期・販促金上積みによる売り上げ確保などの「カンフル剤」に走ることも少なくない。ソニーはこうした経営トレンドに背を向け、長期的視点でキャッシュフロー確保に取り組んできた。結果的に高収益の稼げる企業体質を実現し、2020年はコロナ禍にもかかわらず1兆円の利益を確保した。

関連記事:ソニーが営業CF目標2.2兆円以上に増額、センサー投資上積み

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