EDLPとは?特売はもう古い?最近主流のEDLPを徹底解説! カテゴリ:価格・取引関連用語

読み方:EDLP
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EDLPとは

EDLP(イーディーエルピー)とは、Everyday Low Price(エブリデー・ロープライス)を略した表現である。特売商品や特売期間などの条件付き安売りではなく、あらゆる商品をいつでも低価格で提供するという店舗の販売方針を指し、米国の小売業最大手・ウォルマートの経営理念から生まれた言葉である。

ウォルマートのロゴ
ウォルマートは1962年にディスカウントストアの経営からスタート、当時からEDLPという言葉を採用していたと言われているが、価格政策をEDLPに一本化したのは1980年代に入ってからである。(画像は2020年 ロイター/MARIO ANZUONI)

EDLPの始まり

 ウォルマートは1962年にディスカウントストアの経営からスタート、当時からEDLPという言葉を採用していたと言われているが、価格政策をEDLPに一本化したのは1980年代に入ってからである。

 1980年代の米国小売業では、特定の期間限定などで商品価格に高低差を付ける「ハイ・ロー・プライシング」を採用、特売やチラシ広告などを使って集客を図るのが一般的であった。その当時に、ウォルマートはEDLPを実現させ、米国内で注目を集めた。

EDLPがワールドワイドで認知される

 ウォルマートはEDLPを実現するために、サプライチェーンマネジメントを含む全社的な情報システムを導入。取引形態の見直しやプライベート商品の積極的な開発、継続的に低価格で安定した商品数量を調達するモデルを確立した。

 また同社は、会員制ホールセールクラブ(Wholesale Club)やスーパーセンター(Super center)、ネイバーフッド・マーケット(Neighborhood Market)など新しい業態を開発し、一貫してEDLPを企業理念として事業を運営している。さらにワールドワイドな店舗展開もあって、世界中にEDLPという言葉が認識されるようになった。

EDLP導入のメリット

 ここでは、EDLPを実施する事業者と消費者の立場それぞれのメリットを挙げる

メリットのイメージ
EDLPを導入する事業者のメリットは、消費者に自店は常に低価格で商品を提供しているという印象を与え、競合店との差別化が可能となる。

EDLP導入事業者のメリット

 EDLPを導入する事業者のメリットは、消費者に自店は常に低価格で商品を提供しているという印象を与え、競合店との差別化が可能となる。また競合店に対しては、価格競争を仕掛ける意欲を削ぐ効果が期待できる。経営面では、特売の広告宣伝費削減や商品の調達管理の労力とリスク回避などのメリットがある。

EDLP導入店利用者のメリット

 EDLP店利用者にとってのメリットは、いつでもすべての商品が低価格で購入できるという経済的な買い得感と安心感である。EDLPによって他店との価格差を気にせず、ワンストップで買い物ができるというメリットもある。

EDLP導入のデメリット

 EDLPを実施する事業者と消費者の立場それぞれで、本来のメリットが発揮されない場面が生じることもある。

EDLP導入事業者のデメリット

 EDLPを継続して行くためには、取引先との関係、日々変化する売り上げと在庫、発注状況をリアルタイムで管理できるシステムの存在が前提となる。そのシステムに不備があるとEDLPの実現が困難になり、円滑な店舗運用に支障が生じる。またシステム構築に多額の投資が必要になり、新規のEDLPへの取り組みにはリスクが伴うこともある。

 また、EDLPの導入とハイ・ロー・プライシングの継続、どちらが自店にとって有益な方策になるのか、店舗が立地する商圏の客層や買物行動のパターン、最寄りの競合店などの状況により見極める必要がある。

EDLP店利用者のデメリット

 EDLP導入店のメリットとしてワンストップショッピングを挙げたが、必ずしもすべての商品が最寄りの競合店に比べ割安ではないのが現実である。そのため、複数店舗の価格比較が賢明な買物行動となる場合もある。

EDLP導入事業者の実例

オーケー外観
オーケーは経営方針に「高品質・Everyday Low Price」を掲げ、「他店より高い商品があれば値下げをする」という宣言を店頭に掲げている。

 ここではウォルマートと、国内でEDLPを経営方針として打ち出しているオーケー(神奈川県/二宮涼太郎社長)の例を紹介する。

ウォルマート

 ウォルマートのEDLPの取り組みは、仕入れ先との様々な取引条件を見直し、計画的な発注と仕入量の安定化をベースとした仕入れ価格の値下げから始まった。さらに低価格化を進めるために、売上と在庫管理、サプライチェーンマネジメントを含む情報環境の構築に取り組んでいる。

 1978年にコンピュータ管理の取り組みを開始、1987年に衛星通信の導入、1988年には全店舗の98%がバーコードでのスキャニングを可能にしている。20世紀の段階で、同社は大規模投資でEDPLの運営基盤となる情報システムを確立。今日でも実店舗とオンライン通販を統合するオムニチャンネル拡充に向け、EDLPを経営理念とする大規模投資を継続している。

オーケー

 オーケーは、神奈川県に本社を置き、首都圏1都3県を中心に130を超える店舗を展開する食品スーパーである。同社は経営方針に「高品質・Everyday Low Price」を掲げ、「他店より高い商品があれば値下げをする」という宣言を店頭に掲げている。
同社は1964年コンピュータによる商品管理システムの導入を開始、1983年にコンピュータシステム全面稼働させ、2003年には予約方式自動発注システムを本格稼働開始させるなど情報基盤を確立している。

 全社の情報化の進展に合わせ、1986年にEDLPを基本方針に加え、2001年には特売のチラシを廃止するなどEDLPへの特化を進めている。さらに新展開中のネット宅配事業についても、実店舗と同様にEDLPを宣言している。

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