見切りとは?見切り販売にもメリットとデメリットがある?徹底解説!
見切りとは
見切りとは、さまざまな理由で売れ残った商品を、値段を切り下げて販売することをいう。食品スーパーで、閉店間際になると売れ残った魚などの値札が「1割引」「2割引」と次々張り替えられるのはおなじみの光景だ。
日用品(洗剤・シャンプーなど)の商品リニューアルに伴う棚落ち(陳列から外されること)品も、見切りの対象だ。とくに食品スーパーやドラッグストアでは、3月から4月および9月から10月にかけて大規模な棚替えを実施する店舗が多く、大量の棚落ち品が発生する。
棚落ち品の一部は廃棄に回ることもあるが、見切り販売されるケースも多い。メーカーへの配慮から店頭での見切り販売を避け、アウトレットやWEBを通じて安売りされることもある。
見切りのメリット
見切りのメリットには、廃棄ロスの削減やキャッシュフローの改善にある。
廃棄ロスの削減
日本では、年間3000万トン近い廃棄ロスが毎年発生しているといわれている。これは食品に限らない。シーズン遅れのアパレル商品や棚落ちした化粧品なども最終的には廃棄される運命だ。見切り販売は、こうした廃棄ロスの削減につながる。
キャッシュフローの改善
陳腐化した商品の廃棄は、小売店のキャッシュフローを圧迫する。一部の業界では商慣習として陳腐化商品をメーカーが回収するので、小売店に負担はかからない。とはいえ廃棄コストを小売店ではなくメーカーがかぶっているだけだ。
見切り販売ならこうした廃棄コストの負担を軽減し、キャッシュフローを改善することができる。見切りで利益を出すことはできないが、原価の全部または一部を回収できるのだ。
見切りのデメリット
見切りのデメリットとしては、タイミングの難しさ、そしてブランド毀損に対する懸念が挙げられる。
「いつから見切り販売をするか」のタイミングは難しく、早すぎれば定価で売れた商品の安売りで機会損失が生じ、遅すぎれば売れ残りと廃棄損が生じてしまう。
さらに、安売りによるブランド価値の毀損は、多くのナショナルブランドメーカーが懸念するところだ。だからこそ日用品業界の多くでは返品取引が一般的な商慣行になっているのだ。返品によって売れ残り在庫をメーカーが仕入原価で引き取り、最終的に廃棄処分としているのも、目的はブランド価値を守るためだ。
見切りの実例
見切りの実例として、コンビニエンスストアにおける弁当の見切り販売について取り上げる。
コンビニ業界では、売れ残った弁当の廃棄損をすべて小売店がかぶるのが商慣行だ。弁当廃棄がどれだけ増えても、本部の懐は傷まない。一方で廃棄コストは、確実に店舗オーナーの経営を蝕む。店舗サイドは以前より「売れ残り弁当を見切り販売したい」と訴えてきたが、本部の対応は決して前向きとは言えなかった。
公正取引委員会によるヒアリング調査でも、「値引きシールを手書きで作らなければならず手続きが煩雑」「見切りを続けるならこちらにも考えがあるとすごまれる」「取引条件の見直しをエサに思いとどまるようほのめかす」といったオーナーからの切実な声があつまった。コンビニ弁当における販売価格の統一性が崩れることもあって、本部はできることなら見切り販売を認めたくないのだ。
それでも最近は、行政が本部のスタンスを問題視していることもあって、やや姿勢を軟化する本部も増えてきた。某コンビニチェーンでは「嫌らしいほど煩雑」とされてきた手続きを見直し、最近では値引き額をバーコードで読み込む仕組みを取り入れた。