中国、景気低迷に危機感=利下げ効果は不透明
【北京時事】中国人民銀行(中央銀行)が22日、事実上の政策金利に当たる最優遇貸出金利(LPR)1年物など主要金利の一斉引き下げに踏み切った。政府は金融緩和により、年間目標に掲げる「5%前後」の経済成長の達成を目指す構えだ。ただ、資金需要は高まっておらず、利下げの効果は不透明だ。
15日発表された4~6月期の成長率は前年同期比4.7%にとどまり、5%台だった市場予想を下回った。年間目標の実現には下半期の高成長が不可欠だ。米金融大手ゴールドマン・サックスは22日公表したリポートで、国内需要の低迷に対処するため「さらなる金融緩和が実施される」と予測した。
人民銀はこの日、LPR1年物に加え、住宅ローン金利の基準となる同5年物、主要な短期政策金利の一つである7日物のリバースレポ金利をそれぞれ0.10%ずつ引き下げた。潘功勝総裁は6月に短期金利の役割を重視する考えを示しており、今回は7日物も同時に引き下げたとみられる。米国で利下げ観測が強まり、人民元安への懸念が弱まったことを受け、一気に動かしたもようだ。
中国では不動産不況が続いており、開発事業者への土地使用権売却収入に財源を依存してきた地方政府の財政難も深刻化している。ある市場関係者は地方財政が逼迫(ひっぱく)する中、政府が景気刺激策を「金融政策に頼るしかなくなっている」との見方を示した。
もっとも、市場では今回の金利引き下げについて「経済成長へのインパクトは小さい」(野村ホールディングス)といった声も上がっている。人民銀はこれまでも利下げを行ってきたものの、目立った景気の回復につながっていない。