【ワシントン時事】インフレ圧力の減退を示す米消費者物価指数(CPI)を受け、連邦準備制度理事会(FRB)が9月の金融政策会合で利下げを決めるとの観測が一段と強まっている。労働省が11日発表した6月のCPIは前年同月比3.0%上昇と、伸び率が3カ月連続で縮小し、市場予想も下回った。前月比では0.1%低下した。
「良いインフレ指標をもっと確認したい」。パウエルFRB議長は9日、上院銀行委員会で証言し、利下げ開始の前提条件に、持続的なインフレ鈍化を一層確信する必要性を挙げた。
早速「良い指標」が確認されたことで、11日の金融市場では利下げ期待から米国債の利回りが急低下。金利先物を踏まえて金融政策変更の確率を算出するCMEグループのフェドウオッチによると、9月会合までの利下げ確率は9割超に達した。
CPIを踏まえ、FRB高官からも安堵(あんど)の声が相次いだ。セントルイス連邦準備銀行のムサレム総裁は「勇気づけられる進展だ」と発言。サンフランシスコ連銀のデイリー総裁も「幾分の政策調整(利下げ)が正当化される」と踏み込んだ。
一方、ひと頃の過熱感が収まったとはいえ、米国の景気や労働市場は引き続き堅調に推移。景気下支えのための利下げがすぐにも必要とされる状況にはない。
国際通貨基金(IMF)のコザック報道官は11日の定例記者会見で「米経済は際立って強い」と明言。FRBの金融政策運営では「指標に応じた慎重なアプローチを支持する」と語った。セントルイス連銀のムサレム氏も、インフレ鈍化基調を裏付ける「より多くの証拠を求めていく」と、様子見姿勢を堅持した。