経済産業省は13日、二酸化炭素(CO2)を回収して地中深くに貯留する技術「CCS」の事業化に向け、国内外7カ所を支援対象に選定したと発表した。本格的な事業開始を目指す2030年には、国内の年間CO2排出量の約1%に相当する1300万トンの貯留を見込む。
支援対象は、北海道苫小牧地域(貯留量年約150万トン)、東北地方の日本海側(同200万トン)、東新潟地域(同150万トン)、首都圏(同100万トン)、九州北部沖~西部沖(同300万トン)を貯留地とした国内5案件と、太平洋側地域から排出されるCO2をマレーシア沖(同200万トン)とオセアニア海域(同200万トン)に輸送する2案件。
いずれもINPEXや石油資源開発など日本企業が主導するプロジェクトで、火力発電所や製鉄所、製油所などから出るCO2をパイプラインや船舶で運び、地下や海底に蓄える。 経産省は、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を通じてCO2の分離・回収から輸送、貯留までの一連の取り組みを支援する。50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする政府目標の達成のため、同年のCO2貯留量の目安は1.2億~2.4億トンと想定している。政府は今後、貯留したCO2の管理責任などを明確化する法案の国会提出を予定している。
西村康稔経産相は13日の記者会見で「それぞれの地域の理解を得ながら産業界とも連携し、30年の事業化に向けて取り組む」と説明した。