デジタルに対応する組織の再編成が急務なワケ

望月 智之 (株式会社いつも 取締役副社長)
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デジタル担当を明確化するための組織体制再編を

 なぜそのような状況に陥るのでしょうか。その要因の1つは組織体制にあります。当社がメーカーの支援に入ると、デジタルコンテンツを担当するチームがないことが少なくありません。メーカーの組織は、基本的に製造部があり、そことは離れた場所に営業部と広告宣伝部があります。そのため、デジタル関連の施策のKPIや予算を割り振ろうと思うと、ECモールでの戦略やコンテンツ制作を担当する部署を決めなければなりません。

デジタルのKPIの所在が不明な企業が多い
デジタルのKPIの所在が不明な企業が多い

 こうした状況でデジタルコンテンツを拡充する際、多くの場合営業部が担当することになります。メーカーの営業部は卸との取引が主な業務であるため、デジタルコンテンツを整理することはKPIに盛り込まれず、実際に旗を振って実行する人もいません。

 最近は広域営業部という部署を置き始めているメーカーもありますが、基本的に営業マンは売上アップを求められるため、コンテンツの品質を高めるという数値に表れない業務へのモチベーションは上がりにくいです。本来であれば広報やコンテンツの専門部署があったほうがよいのですが、現状は広報ではなく営業部マターになりがちなのです。メーカーは製品別事業部制度を採っているところが多く、全社的な動きが多い広報部では扱いにくいのです。

現状の組織体制ではデジタル対応が不十分だ
現状の組織体制ではデジタル対応が不十分だ

 その結果、営業部にデジタル関連の施策を任せきりになることが多いのですが、営業部にはコンテンツに盛り込む素材がないため、頑張ってバナーを作り込むなどの取り組みはありません。もっと言えば、ECが求めるような情報が基幹システムに入っていないことがほとんどです。

 現状では多くの組織がこのような状態のため、今後改革が必要です。ECは商品を手にとることや対面での接客ができないため、情報コンテンツの重要性が高いのです。多くの組織が課題を解決できていない今だからこそ、デジタルに対応できる組織の再編成が急務と言えるでしょう。

 

プロフィール

望月智之(もちづき・ともゆき)

1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1 部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。
ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。

 

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記事執筆者

望月 智之 / 株式会社いつも 取締役副社長
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。

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