「ヨドバシカメラは、輸送に投資する」
ヨドバシカメラの2018年3月期売上高は6805億円で対前期比3.4%の増加、経常利益は9%の増益だった。家電商品を中心に販売の主戦場がリアル店舗からオンラインへと動くなか、同社は見事にその変化に対応しながら売上・利益を拡大させている。駅前の巨大店舗は、商品を実際に買えて、その場で持ち帰られる点を強みに、店舗売上自体も同期は増収となったようだ。
躍進著しいヨドバシドットコムは、年間100万SKU近いペースで品揃えを増やしているが、ヨドバシドットコムが支持を広げる要因は、トータルでの配送品質の向上に投資をし、それが差別化ポイントとなっているからだ。まず、90%を超えるように設定した在庫保有率により「いつでもすぐ買える」イメージを醸成。自前の配送サービス(東京23区と一部)により、迅速かつ顧客との重要なタッチポイントであることを理解した配達員がお客に手渡しする(できるだけ郵便ポストに入るように小さな梱包を意識しており、ポストに入る場合でもいったんはお客を呼ぶようにするのがヨドバシ流だ)。効率的な配送を実現するために、自社配送するエリアでは、川崎市にあるDCからデポに商品が届けられ、そこから4輪車と2輪車を使ってお客の自宅に届けられるが、そのデポの拠点数も、車両台数も短期間の間で増えている。
「ヨドバシカメラは輸送に投資する」という藤沢和則副社長。小売であることに特化し、アマゾンとは違う顧客体験を提供することに力を注いでいるようだ(A)。