「おもしろいビジネスを見つけた」
不敵な笑みを浮かべながらこう話すのは、きむら(香川県)の木村宏雄社長だ。
同社は香川県と岡山県で食品スーパー(SM)を20店舗展開する。鮮魚を差別化部門に位置づけ、店舗に飲食店関係者などプロ向けの鮮魚売場を設けたり、香川県内の魚市場を経営したり、漁業関係者とともにサーモンの養殖を行ったりと、ユニークな取り組みで注目を集めてきた。
そんなきむらが今年4月、自社運営の水産加工センターを高松市内で稼働させた。
敷地面積約1000坪の同センターでは、鮮魚を加工するためのありとあらゆる専用機械を揃え、切り身や干物、煮付けやフライ(半加工品を含む)、巻き寿司などを製造する。
実はこうした商品の約7割は、外部企業からの委託を受けてつくっているもの。稼働を開始して以降、飲食店や給食メーカーなどのほか、同業のSM企業からもひっきりなしに問い合わせが来ているという。
将来的には、センター単独で30億円の年商をあげたい考えだ。「とにかくものすごい勢いで注文が来ているので、3年以内には達成できる見込み」と木村社長は自信を覗かせる。
きむらの商勢圏では、大手SMのほか、ディスカウントストアや食品強化型のドラッグストアが積極的な出店を続けており、熾烈な競争が繰り広げられている。そうしたなかで、「同じような商売をしていたら、われわれのような規模のSMはいずれ淘汰されてしまう。(SMとは別に)きちんと売上や利益を上げられるような事業を持っていないと生き残れない」と木村社長は危機感をあらわにする。
なお再来年をメドに、既存店の敷地内で魚をウリとした飲食店を出店する構想も持っているという。
これまで本業としてきたSMという枠にとらわれることなく、得意分野を伸ばして新たなビジネスを切り拓き、売上・利益をつくる。さらなる成長に向け、きむらは殻を破り続ける。(y)