百貨店の未来像は「偶然な幸福をもたらす場所」である
今回は百貨店の未来を「セレンディピティの再定義」という切り口から検討する。セレンディピティとは英語で、「思いもよらなかった偶然がもたらす幸運」「価値あるものを偶然見つける能力」を指し示す言葉である。日本の百貨店は呉服店を起源とし、ブランドを束ね販売を担う「編集者」としての立場が強かった。そこを発端に、消化仕入れ(売仕方式)という在庫リスクを取引先と共有する独自の仕入れ形態を通じて、生活者が自分では探せない・出合ったことがない商品との“出合い”を創出してきた。しかし、百貨店も他の小売同様に、人口動態・技術革新・社会規制といった環境の変化を迎えている。
百貨店の環境変化における脅威
百貨店業界の競争優位を支えてきたのは、かつてはハレの日を過ごす特別な場所、外商顧客を中心とする上顧客基盤、ラグジュアリーブランドとの強固な関係性、そして販売員や館自体が生み出す独自の体験価値であった。加えてコロナ以降の百貨店の復調を支えたのがインバウンド需要であることは間違いない。2024年には訪日外国人による消費額は8兆円を超え、過去最高*1となった。

しかし35年に向けて、この構造は脅威に直面している。具体的には
●
この記事をさらに読むと、百貨店が直面するラグジュアリーブランドとの関係性変化やインバウンド依存のリスクに対し、どのように「セレンディピティ(偶然な出合い)」を再定義し、新しい顧客と収益源を確保しようとしているのかについて理解することができます。
小売業の望ましい未来を考える の新着記事
-
2025/12/02
ドラッグストアに求められる「健康をともにデザインする」という役割 -
2025/11/05
百貨店の未来像は「偶然な幸福をもたらす場所」である -
2025/10/02
コンビニエンスストアの”望ましい未来”の姿とは -
2025/09/02
ウェルビーイングとスーパーマーケット融合の未来像 -
2025/07/16
2035年に予測される、「6パターンの購買者の姿」 -
2025/06/16
メガトレンドが突きつける、小売業界「9つの未来課題」とは
この連載の一覧はこちら [7記事]
関連記事ランキング
- 2025-11-07オーケーの売場で痛感した「価値訴求型什器」の重要性
- 2025-11-04セブン&アイとイオン 国内2大流通グループの中間決算を徹底分析!
- 2025-11-07長野県内最大「イオンモール須坂」が開業! イオンスタイルでは非食品の“専門店化”に注力
- 2025-11-05卸オリジナル商品市場、国産原料や健康訴求で差別化、付加価値型オリジナル商品を強化
- 2025-11-04高質スーパー・いちやまマート三科社長が激白!EDLP導入を決断した背景
- 2025-11-06南アフリカ初の「ウォルマート」開業 英国の「アマゾンフレッシュ」閉鎖へ
- 2025-11-06シチュー市場、アレンジメニューやクロスMD提案で、秋冬以外の店頭露出の増加をめざす
- 2025-10-31バロー・ロピア・アルビス・大阪屋……名古屋市内の激戦2エリアの見どころを解説!
- 2025-11-06脱・ルーティン化!青果バイヤーに今求められるスキルとは
- 2025-11-06「街ナカぐらし」に寄り添う!「イオンモール仙台上杉」の館づくりを解剖





前の記事


コンビニエンスストアの”望ましい未来”の姿とは



