日本スーパーマーケット協会岩崎会長が展望する「食品小売の未来」とは
インフレや人手不足など、さまざまな経営課題に直面している食品小売業界。大型再編が相次ぎ勢力図が著しく変化する一方で、いまだかつてない密度で企業間連携が進んでいる。業界内では、何が起きているのか。業界の現状と今後の展望について、日本スーパーマーケット協会(以下、JSA)の岩崎高治会長に話を聞いた。
大型再編、他業種参入は不可逆の潮流に
―食品小売業界の現在の事業環境をどのようにとらえていますか。
岩崎 まず、完全に世の中は変わったと感じています。とくに大きな変化としては、コロナ禍を経てデフレからインフレへの転換がありました。また、小売業にとって従前から大きな課題だった人手不足がさらに深刻化しました。人件費をはじめ、物流や建築費などの各種コストも毎年上昇しています。こうした課題が山積する中で、経営の舵取りは難しさを増しています。
今、食品小売業界内では大型再編が相次いでいますが、これも著しい事業環境の変化が大きく影響していると見ています。もともと国内の食品スーパー(SM)は他国、あるいは国内のほかの業態と比べると寡占化のスピードが緩やかでした。「いずれ大きな再編が相次ぐようになる」と言われてきましたが、その時がついに来たのだなと感じています。

1966年生まれ、東京都出身。89年3月に慶応義塾大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。
94年2月に三菱商事100%子会社のPrinces Ltd.を経て、99年5月にライフコーポレーション入社、取締役に就任。
2001年10月に専務取締役、06年3月に代表取締役社長、
23年10月から代表取締役社長執行役員 開発統括(現任)。
21年6月に日本スーパーマーケット協会理事、22年3月に副会長、23年6月から会長を務める
―ドラッグストアによるSMの買収など、他業態の参入も活発化しています。
岩崎 背景には、2つの側面があると考えています。1つめは、食品小売業は人間が存在する以上、絶対になくならない業態だという点です。需要が安定しており、かつ購買・来店頻度も高い。そういった意味でSMは他業態から見て魅力的なビジネスであることは確かでしょう。
2つめは、
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この記事を読むと、食品スーパー業界がなぜ、これまでになく企業間連携を強化し、物流の効率化や社会制度の改善など業界全体の課題解決に本腰を入れ始めているのかについて理解することができます。
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