社長自ら仕入れる鮮魚、100円パン……京都のローカルスーパー「新鮮激安市場!」の差別化戦略

森本 守人 (サテライトスコープ代表)

コスモコーポレーション(京都府/堀井徳人社長)は2025年5月23日、京都府京都市に「新鮮激安市場!太秦(うずまさ)店」(以下、太秦店)をオープンした。前編では生鮮食品を強化する店づくりを紹介したが、後編ではさらに掘り下げ、差別化への取り組みにスポットを当てる。

目利きと仕入れ力が強み

 京都府内で15店舗を展開するコスモコーポレーション。現在、主力とするのが「新鮮激安市場!」を屋号とする食品スーパーで、太秦店を含む13店舗がこのフォーマットとなる。

 コスモコーポレーションが商品政策において重視するのが「独自性」だ。日配や加工食品などの頻度品は価格訴求で集客する一方、競合店には並ばない商品を増やし差別化を図る。半径500m圏を基本商圏に設定、この範囲のシェアを上げる「小商圏高占有率戦略」をとっている。各地で強い支持を獲得しており、1坪当たり売上高が1000万円前後の店舗も複数あるという。

 この方針のもと、太秦店でも独自の仕掛けが随所で見られる。もっとも注力するのは看板部門の鮮魚だ。6月上旬現在、同部門の売上高構成比は27%に上る。

 コスモコーポレーションは鮮魚店が前身の企業で、一般的な食品スーパーとは一線を画す、専門的な売場が目を引く。強みは徹底した目利きと仕入れ力。毎日、堀井社長も京都市中央卸売市場に足を運び、自らの目で魚を確認、最良のものを買い付ける。

差別化部門として力を入れる鮮魚。6月上旬時点における、鮮魚の売上高構成比は27%
通常15〜20魚種の丸魚を並べる鮮魚売場。同じ魚種でも味わいの異なる産地を複数揃えることも多い

 日にもよるが、鮮魚売場では通常15〜20の丸魚を揃えている。さらに1つの魚種でも、

続きを読むには…

この記事は DCSオンライン会員(無料)、DCSオンライン+会員限定です。
会員登録後読むことができます。


DCSオンライン会員、DCSオンライン+会員の方はログインしてから閲覧ください。

1 2

記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2025 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態