青果部門が迎える新局面……安定供給と差別化のカギは、小売起点の流通改革!
急激な相場高が青果離れを促進
2024年から25年にかけて、青果を取り巻く環境はかつてない厳しさに直面している。まず大きな影響を与えたのは、24年の夏から続いた異常気象である。猛暑、台風、少雨といった気象条件が重なり、秋冬野菜の生育が大きく乱れた。生産地ではキャベツや大根、白菜など葉物類の収穫量が大幅に減少し、市場価格が急騰した。
ただ、総務省が25年6月に発表した「消費者物価指数(20年=100)」によると、25年5月の生鮮野菜価格は全国平均で対前年同月比4.7%減、品目別ではキャベツが同39.2%減、レタスが同27.1%減、ブロッコリーが同35.8%減となった。供給が安定し、野菜の価格は若干の落ち着きを見せている。

しかし一時の相場高騰は、消費者の購買行動に依然影響をおよぼしている。とくに、支出に占める食費の割合が高い層では、「野菜は高い」という意識が根づき、節約志向が強まっている。
総務省が25年2月に発表した「家計調査報告(24年平均)」によると、2人以上世帯の野菜・海藻の名目支出は同4.0%増となったものの、実質支出は同4.2%減となった。果物についても、名目支出は同3.1%増だったが、実質では同6.9%減となった。
つまり、価格上昇によって支出に占める青果物の購入金額の割合は増えた一方で、購入量は減ったという実態が浮き彫りになっている。
また、厚生労働省が24年11月に発表した「令和5年国民健康・栄養調査」によると、20歳以上の1日当たりの野菜摂取量は平均256.0gにとどまり、国が目標とする350gには遠くおよばない水準である。しかも、過去10年間でこの数値は減少傾向にあり、物価高やライフスタイルの変化が、継続的な野菜摂取量の低下を招いていると考えられる。
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