経済成長、問われる持続力=環境激変で先行き未知数―4~6月期GDP〔潮流底流〕

時事通信社
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新藤義孝経済財政担当相
〔写真説明〕2024年4~6月期の国内総生産(GDP)について説明する新藤義孝経済財政担当相=15日、東京都千代田区(時事通信社)

 2024年4~6月期実質GDP(国内総生産)速報値は、年率で前期比3.1%増と2四半期ぶりのプラス成長を果たした。認証不正問題で止まっていた自動車の生産・出荷が再開し、個人消費や設備投資が回復したことが主因だ。とはいえ、物価高は「消費者の許容範囲を超えている」(小売業界関係者)状況で、消費はなお力強さを欠く。国内外で先行きの不透明感が増す中、日本経済が本格的な成長軌道に戻れるか、回復の持続力が問われている。  

◇けん引役は車

 「名目GDPが史上初めて600兆円を超えた。アベノミクスの成果の上に、岸田内閣の『新しい資本主義』の取り組みを進めた結果だ」。新藤義孝経済財政担当相は、GDP公表直後の記者会見でこう強調した。

 4~6月期GDPをけん引した最大の立役者は個人消費だ。1~3月期はダイハツ工業などの不正に伴う国内新車販売の落ち込みが消費の減少という形でマイナス成長を招いたが、車の販売は同社の国内完成車工場が全て稼働を再開した5月ごろから徐々に回復。7月には7カ月ぶりに前年同月比でプラスに転じた。

 賃金の回復も消費を支える。6月には物価変動を反映させた実質賃金が27カ月ぶりにプラスに転換。今春闘での賃上げや賞与増額の効果が表れた形で、小売業界では「消費増に期待している」(日本百貨店協会の西阪義晴専務理事)との声が上がる。アナリストの多くは7~9月期GDPも前期比でプラスを維持すると予想している。

 もっとも、小売りやサービスの現場では「(値上げで)顧客が消費に慎重になっていることは事実」(日本マクドナルドの吉田修子取締役)として、物価高が販売に及ぼす影響を懸念する向きが多い。自動車業界でも「(不正で)失った販売機会が挽回できたとはいえない」(販売店担当者)と厳しい声が上がる。  

◇揺れる金融市場

 足元では、日銀の利上げ決定や米景気の先行き懸念などを背景に、対ドルで円高が進行。株価も乱高下するなど、市場が激しく揺れている。

 円高については、輸入物価の引き下げにつながるため、小売りを中心に「待ちに待った円高だ」(ニトリホールディングスの似鳥昭雄会長)と前向きに受け止める企業は多い。逆に、海外で稼ぐ企業では「海外売り上げが9割を超えているので影響は不可避だ」(ヤマハ発動機の日高祥博社長)など警戒感が広がる。

 国際情勢の行方も焦点だ。11月の米大統領選でトランプ前大統領が勝利すれば、関税引き上げなどでインフレが加速し、米金利が上昇して円安を招くとの見方も多い。

 こうした中、今月14日には岸田文雄首相が自民党総裁選に出馬しない意向を表明した。ある経済官庁幹部は「マクロ経済政策の方針は首相が代わっても大きく変わらない」とみるが、政治が混迷すれば政策対応の遅れや市場の動揺を招き、成長に響く恐れもある。

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