物流インフラ整備進むターゲットの戦略 衣料品返品1年間OKの理由は
ターゲット(Target)はインフレによる消費マインド低下に鑑み、2023年度の業績については非常に慎重な予測を示していた。結果的に売上高は対年度比1.6%減だったものの、当期純利益は同49%増、1株当たり利益は金融アナリストの予測を7.2%超えた。売上よりも利益拡大を重視するブライアン・コーネル CEOの老練な経営手腕が発揮された格好だ。
ラストマイル配送を変革した「拡張施設」の存在
収益改善に貢献したのは、ラストマイル配送のさらなるスピードアップと効率性向上だ。ECの注文数が急増した20年に導入したソーテーションセンターが、ラストマイル配送の迅速化・効率化に大きく寄与している。
さらに23年6月には「TLMD extension (ターゲット・ラストマイルデリバリー拡張施設)」という名の施設をジョージア州スミルナに開設した。同施設ではアトランタのソーテーションセンターで仕分けされた宅配物を保管し、提携する買物代行サービスのシップト(Shipt)のドライバーが翌日すぐに配送できるよう梱包処理する。
ターゲットはその後、TLMD拡張施設を増設しており、翌日配送対象地域を広げている。これに伴いシップト側では従来の8倍の積載量を持つ車両を導入し、配送箇所をより増やせるようシステムも改良。今後数年のうちにすべての主要商圏で、新たな車両とシステムによる配送を実施する計画だ。
ターゲットによると、昨年夏時点でソーテーションセンターが稼働している商圏ではオーダーから配達までの時間が従来より1.5日短縮したという。23年度の目標は、ソーテーションセンター10カ所で対前年度比20%増の3500万件以上の注文を処理するというものだったが、24年度については目標数値を公開していない。しかしコーネルCEOは「TLMD拡張施設は、われわれの配送スピードアップの“シークレットレシピ(秘密の裏技)”だ」としている。
有料会員プログラムを開始
ターゲットに関してもう1つ注目したいのが、有料会員プログラムの動向だ。同社は19年に会費無料のロイヤルティプログラム「ターゲットサークル」を開始しており、会員限定価格や販促セールを提供し、現在の会員数は
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