強まるデフレ圧力=景気減速で消費低迷―中国
【北京時事】中国でデフレ圧力が強まっている。景気減速を背景に消費が冷え込んでいるためだ。李強首相は北京で開催中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、内需の拡大に注力する方針を強調した。
国家統計局が9日公表した物価統計によると、春節(旧正月)連休の影響をならした1~2月の消費者物価指数(CPI)は前年同期比で横ばい。単月ベースでは、過去1年のうち5カ月でマイナスだった。中国では基幹産業である不動産の不振が長期化し、雇用状況も好転していない。
価格変動の激しい食品とエネルギーを除いたコアインフレ率は0.8%となった。このため中国経済は物価上昇の伸びが鈍化する「ディスインフレ」の段階にとどまっているとの見方が有力。ただ、不動産市場の冷え込みは当面続くと見られ、「デフレリスクは高まっている」(中国の研究者)といった声も上がる。
政府も危機感を強めているもようだ。共産党の習近平総書記(国家主席)は2月下旬に開かれた党の会合で、内需の刺激などを念頭に、工場の設備更新や自動車などの買い替えを促す取り組みを始めるべきだと強調した。
全人代で公表された資料などから計算すると、政府は今年の物価上昇率を2%超と想定しているもよう。だが、実際の上昇率は1%未満にとどまるとの見方が大勢だ。英調査会社オックスフォード・エコノミクスはリポートで、中国政府が「緩和的な金融政策」を「今年いっぱい続ける可能性が高い」と予想した。