24年の世界成長、2.4%に据え置き=日本は0.9%に減速―世銀見通し
【ワシントン時事】世界銀行は9日公表した最新の経済見通しで、2024年の世界の実質GDP(国内総生産)伸び率を2.4%(前年は2.6%)と、昨年6月時点の前回予測を据え置いた。米欧の利上げの影響や、世界的な貿易・投資の停滞が背景。25年は2.7%と、0.3ポイント引き下げ、3年連続で2%台の低成長にとどまると見込む。
日本の24年の成長率は0.9%と、コロナ禍後の旺盛な需要や訪日客増加などで好調だった23年(1.8%)から大幅に減速。主要な貿易相手国の成長鈍化が輸出を圧迫する。25年は0.8%と予想した。
米国の24年の成長率も1.6%と、前年(2.5%)から減速。高金利や、財政政策が引き締めに転じることが響く。中国は24年が4.5%、25年が4.3%と、節目の5%を下回って推移する見通しだ。
世銀は「リスクは下振れ」と警告。主なリスクとして、中東情勢の緊迫化による原油高騰の恐れを指摘した。中国の不動産市場が一層深刻な落ち込みに見舞われれば、24年の同国成長率は予想からさらに1ポイント、世界の成長率は0.2ポイントそれぞれ低下すると見込んだ。
ギル世銀チーフエコノミストは「大きな軌道修正がなければ、20年代は機会喪失の10年になる」と警告。各国政府に投資促進などを求めた。
◇世銀の主要国・地域成長率見通し
2023年 24年 25年
世界全体 2.6(0.5) 2.4(0.0) 2.7(▲0.3)
日本 1.8(1.0) 0.9(0.2) 0.8(0.2)
米国 2.5(1.4) 1.6(0.8) 1.7(▲0.6)
ユーロ圏 0.4(0.0) 0.7(▲0.6) 1.6(▲0.7)
中国 5.2(▲0.4) 4.5(▲0.1) 4.3(▲0.1)
インド 6.3(0.0) 6.4(0.0) 6.5(0.0)
ロシア 2.6(2.8) 1.3(0.1) 0.9(0.1)
(注)単位%。カッコ内は昨年6月時点の予測からの変化幅、単位ポイント。▲はマイナス