“シミュレーション”を励行する
東京大学の伊藤元重教授は、先行きが読めない時代の秘策は“シミュレーション”にあると言ってやまない。
たとえば、為替変動の“シミュレーション”とはこんな具合だ。
「経営者は、3枚の紙を用意して、『1$=100円』『1$=120円』『1$=80円』と記入しておきます。折りあるごとに紙を眺め、各ケースを想定して自社の戦略をあらかじめ練っておくのです」。
伊藤教授の言う“シミュレーション”は、さまざまな機会に応用できる。
たとえば、取引先との商談なら、相手方の返事が「イエス」「ノー」「どちらでもない」ケースをあらかじめ想定して臨めば、まず回答に窮することはないはずだ。
野球の打者の“シミュレーション”というのもあるのだろう。コースと球種を3つくらいに絞り込んで、イメージしている選手としていない選手では、成績にずいぶん差が出てくるのではないだろうか。
突発的に起こった事態を受けて、当意即妙に正解を出すことができる有能な人物は稀有なものだ。また、有能な人材でも瞬時の判断を迫られれば、間違いも起こるというものだろう。
先行きが不透明な時代には、それぞれの状況に応じた即座な対応が求められる。「転ばぬ先の杖」として、“シミュレーション”を励行したい。
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