“シミュレーション”を励行する
東京大学の伊藤元重教授は、先行きが読めない時代の秘策は“シミュレーション”にあると言ってやまない。
たとえば、為替変動の“シミュレーション”とはこんな具合だ。
「経営者は、3枚の紙を用意して、『1$=100円』『1$=120円』『1$=80円』と記入しておきます。折りあるごとに紙を眺め、各ケースを想定して自社の戦略をあらかじめ練っておくのです」。
伊藤教授の言う“シミュレーション”は、さまざまな機会に応用できる。
たとえば、取引先との商談なら、相手方の返事が「イエス」「ノー」「どちらでもない」ケースをあらかじめ想定して臨めば、まず回答に窮することはないはずだ。
野球の打者の“シミュレーション”というのもあるのだろう。コースと球種を3つくらいに絞り込んで、イメージしている選手としていない選手では、成績にずいぶん差が出てくるのではないだろうか。
突発的に起こった事態を受けて、当意即妙に正解を出すことができる有能な人物は稀有なものだ。また、有能な人材でも瞬時の判断を迫られれば、間違いも起こるというものだろう。
先行きが不透明な時代には、それぞれの状況に応じた即座な対応が求められる。「転ばぬ先の杖」として、“シミュレーション”を励行したい。
千田直哉の続・気づきのヒント の新着記事
-
2024/07/03
「何にでも感激する経営者」の会社が業績が良い“意外な”理由 -
2024/06/07
経費率16%なのに?ローコスト経営企業が敗れ去るカラクリとは -
2024/05/23
キットカットをナンバーワンにしたマーケター「アイデアより大事なこと」とは -
2024/04/15
スーパーマーケット業界のゲームチェンジャー、オーケー創業者・飯田勧氏の経営哲学とは -
2024/02/23
「ダイソー」創業者・矢野博丈さんが「会社は潰れるもの」と考えて経営にあたった真意 -
2023/10/30
スポーツの番狂わせと企業の好調要因がどちらも「偶然」ではない理由
この連載の一覧はこちら [1787記事]
![千田直哉の続・気づきのヒント](https://diamond-rm.imgix.net/wp-content/uploads/2021/05/20210514_chiefblog.jpg?auto=format%2Ccompress&ixlib=php-3.3.0&s=ebefbdfd159307ddf75e7a10016248a0)