”経済”と書いて”せいじ”と読む時代

2009/04/01 00:00
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 「経世済民」という言葉は“経済”の語源だ。「世を経(おさ)め、民を済(すく)う」ことを意味し、かつては“政治”そのものを指した。いまのように“エコノミー”を意味する言葉になったのは、ずいぶん後のこと。80年代後半、竹下登元首相が田中角栄に反旗を翻しつくった“経世会”も語源は「経世済民」だった。

 日本では国民不在の政治が長く続いている。100年に一度の経済危機というのに、日本の景気刺激策は2度の補正と来年度予算で12兆円(真水)。米国の75兆円、中国の57兆円との比較では質量ともに見劣り感がある。定額給付金で日本経済が活性化するとは誰も思っていない。

 

 政治が民を済えないなかでユニクロの傘下の衣料店「ジーユー」が980円のジーンズを発売。ニトリは合計1300品目の値下げを実施し、民に済いの手をさしのべている。こんな動きを見ると、“経済”と書いて、“せいじ”、と読む時代に逆戻りしているような感覚にとらわれてしまう。

 

『チェーンストアエイジ』誌2009年4月1日号

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