売上高1000億円超も! 意外と知らない「メガフランチャイジー」の実態

2023/03/15 05:55
棚橋 慶次
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hanohiki/istock
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小売業の「フランチャイジー」といえば、零細・弱小・家族経営といったイメージが世間的には根強い。コンビニエンスストアのオーナーが本部の理不尽な要請に振り回される……そんな記事を目にした方も多いだろう。確かにそれは一部事実であるのかもしれないが、すべてがそうというわけではない。中にはフランチャイザーに対して強い発言権を持つフランチャイジーもいる。本稿ではメガフランチャイジーについて、販売業における位置づけや社会的役割、代表的な企業の動向を解説するとともに、メガフランチャイズ成功の方程式について考えてみたい。

「メガフランチャイジー」とは何か

 中小企業診断士や経営コンサルタントで構成されるフランチャイズ研究会では、「30店舗以上を展開、あるいは売上規模20億円以上のフランチャイジー」をメガフランチャイジーと定義する。

 公式の統計データはないが、全国には100社以上のメガフランチャイジーがあるといわれている。株式上場を果たしたメガフランチャイジーも10社以上あり、中小・中堅企業における事業拡大・成長の選択肢としても注目されている。

 日本ではいかにしてフランチャイズチェーンが形成されてきたのか。その歩みはいくつかに類型化される。もっとも一般的なのは、個人経営の商店主がフランチャイジーとして組織化されたパターンだ。「ハードオフ」のフランチャイジーは家電小売店、「セブン-イレブン」は酒店・たばこ店からの転身が多かったとされる。時代の流れでいずれは淘汰される運命だった店舗オーナーを巧みに取り込んだといえる。

FCビジネスの“シンデレラストーリー”

 フランチャイジーの中には、個店からスタートして成り上がったという“シンデレラストーリー”も実在する。各都道府県を営業エリアとするトヨタ系ディーラー(トヨペット・トヨタ・ネッツなど)も、戦後すぐに、零細の自動車修理工場や販売店主の系列化をしていったところから始まった。その後はモータリゼーションとともに、各ディーラー企業も急成長の波に乗る。ウエインズトヨタ神奈川(旧横浜トヨペット)のように、売上高が1000億円を超える企業もある。

 元日本マクドナルド社員の田中智行氏が2002年に設立した、マクドナルドフランチャイジーの豊昇(埼玉県)も成長著しいメガフランチャイジーの1社だ。

 同社は2002年に「アピタ本庄(現MEGAドン・キホーテ本庄)」(埼玉県本庄市)に1号店を出店し、フランチャイズビジネスをスタート。それから約20年が経過し、現在は東京都・群馬県・埼玉県に73店舗を展開するメガフランチャイジーに成長している。売上高も右肩上がりで、2021年度の売上高は132億円となっている。

 さらに「マクドナルド」の店長のうち100人に1人だけが授けられる「レイ・クロックアワード」も同社から3名の受賞者を輩出している。日本マクドナルドが主催する技能コンテスト「AJCC(オール・ジャパン・クルー・コンテスト)」の全国大会にも延べ6人が出場し、そのうち1人が優勝を果たしている。本部主導のキャンペーンにも積極的に協力し、高いスキルを持った従業員を抱えているのも同社の強みと言っていい。

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