売上高1000億円超も! 意外と知らない「メガフランチャイジー」の実態

2023/03/15 05:55
棚橋慶次
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複合型のメガフランチャイジーとは

 メガフランチャイジーの成長パターンには、豊昇のように“マクドナルド一筋”で店舗展開する「単一型」だけでなく、複数のフランチャイザーと契約し、規模拡大を図る「複合型」もある。

 九州地方を中心として飲食店を100店舗以上運営するイートスタイル(宮崎県)は、複合型の代表格だ。提携するフランチャイザーは「サーティーワンアイスクリーム」「ビアードパパ」「ポポラマーマ」「ビビン亭」など10以上におよぶ。

 複合型の中でもとくに存在感があるのが、「業務スーパー」「オートバックス」のフランチャイズ運営を手がけるG-7ホールディングス(兵庫県:以下、G-7)である。同社の創業は1976年。オートバックスとフランチャイズ契約を結び、二人三脚で成長してきた。G-7傘下の国内店舗数は69店舗(2022年9月末時点)で、オートバックスグループ(国内585店舗)の中でもトップのフランチャイジーだ。

 ただしオートバックスを含めた「車関連事業」の伸びは2015年3月期より鈍化を続け、現在はすっかり横ばい状態となっている。これに替わって成長を支えているのが、2002年にFC契約を結んだ「業務スーパー」だ。

メガフランチャイジー筆頭!G-7を支える「業務スーパー」

 業務スーパーの躍進とともに、G-7の業績は好調を続けており、事業セグメント別業績では、業務スーパー事業の売上高は車関連事業の倍以上となり、売上高全体の半分以上を占める。現在、G-7が運営する業務スーパーの店舗数は178店舗(2022年9月末時点)となっている。今後も業務スーパーの新規出店は続くと見込まれ、G-7の持続的成長を支えそうだ。

 G-7全体の業績はどうか。2005年3月期に439億円に過ぎなかった売上高は、2015年3月期には883億円と倍増。直近(2023年3月期)ではさらに倍以上の1800億円を見込む。G-7がここまで伸びることができたのは、オーナーによる「伸びるFC」を見極める力が大きく寄与したといえよう。

 そんなG-7にとってアキレス腱となるのがガバナンスだ。創業2代目の社長が、昨年に不祥事を起こし辞任、ジャスコ出身の金田達三氏にバトンタッチしたのだ。この件では、オートバックス側がフランチャイズ契約の見直しを検討するまでの危機的事態を招いた。カー用品販売店チェーンの経営者が酒気帯び運転で事故を起こしたとは冗談でも笑えない。

 これはG-7だけの問題ではない。メガフランチャイジーの中には一代で急成長をとげたところが多く、ガバナンスやコンプライアンスは弱くなりがちだ。FC本部との信頼関係、伸びるFCを見極める力、そしてガバナンス……メガフランチャイジーの成長を支える原動力はこのあたりにありそうだ。

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