新宿に巨大旗艦店オープンのアルペン、レッドオーシャン脱出のための打ち手は?

2022/12/06 05:55
    棚橋 慶次
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    3面の大型LEDビジョンを備えた「ユニカビジョン」で知られる新宿の名所「ヤマダ電機LABI新宿東口館」が閉鎖したのが2020年10月のこと。その後釜として名乗りをあげたのがスポーツ用品販売大手のアルペン(愛知県/水野敦之社長)だ。
    そして2022年4月、ヤマダ電気の跡地に「Alpen TOKYO」がオープンした。地上8階・地下2階建て、同社最大のフラッグシップショップだ。ちなみに、ユニカビジョンも存続されたようだ。
    オープンから半年余りが経過し、出足は順調なのか。アルペンは個店の売上を公表していないが、既存店売上合計・全店売上合計とも22年4月以降ずっと前期実績を上回っており、全般的に調子がよいことは間違いない。
    今回の記事では、「Alpen TOKYO」を切り口に、アルペンが東京・新宿の地に大型店を立ち上げた背景、最近の業績と今後の動向について見ていきたい。

    「Alpen TOKYO」の外観イメージ
    地下2階地上8階の計10フロアで、「スポーツデポ」「アルペンアウトドアーズ」「ゴルフ5」などを展開する

    実は低い「スキー・スノボ用品」の構成比

     『絶好調、真冬の恋スピードに乗って』

     1995年にリリースされた広瀬香美の「ゲレンデがとけるほど恋したい」の一節だ。同名の映画とアルペンCMのタイアップもあって、この曲は現在も歌い継がれる大ヒット曲となっている。

     そうした経緯もあって、アルペンの名前を聞けば当時のCMを思い出し、スキー・スノボを連想する人は多い。

     だが、今やアルペンの売上高におけるスキー・スノボ用品の割合は5%にも満たない。売上を支えているのは、「ゴルフ」「スポーツライフスタイル」「競技・一般スポーツ」といったカテゴリーだ。

     業態的にも、約400ある店舗のうち「アルペン」の名を冠しているのは2割弱に過ぎず、店舗の大部分は「ゴルフ5」「スポーツデポ」が占めている。

    苦難の時代を乗り越え……

     アウトドアムーブにも支えられ、直近の業績は『絶好調』とまでは行かずとも好調に推移している。

     2021年6月期は過去最高の売上(2332億円)を更新、22年6月期は微減収となったものの前期と同水準を維持している。11月8日に発表した2023年6月期第1四半期決算では、通期売上予想を過去最高の2480億円に据える。

     2010年代のアルペンは苦難の時代が続いた。大手スポーツ用品店各社は出店拡大でシェア争いを繰り広げるものの、人口減少やネット販売へのシフトへの対応が遅れ売上が低迷した。

     2018年になると、アルペンはリストラに追い込まれ、2018年6月期だけで24店舗を閉鎖。偏在在庫を償却すると同時に、400人近い希望退職も実施した。

     先が見えない状況の中で、降って湧いたのがコロナ禍で人気を呼んだゴルフとアウトドアだ。直近5年(2018→2022年)の売上構成比でも、「一般・競技スポーツ」が▲7.7ポイント低下した(50.3%→42.6%)のに対し、「ゴルフ」は4.6ポイント(35.5%→40.1%)、「アウトドア」は6.2ポイント(6.5%→12.7%)も伸ばしている。

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