ヨークベニマル 三つ折りカードの中身

千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
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 いま、ヨークベニマル(福島県/大高善興社長)の社員の名札の中には、三つ折りされ名刺より一回り小さなサイズにしたパウチカードが入っている。

 カードには、「企業理念」「創業精神12章」「ヨークベニマルが実現すること」「感じの良いサービスを実践いたします」のほか、「商品を自転車に積んで行商に出かけるママさん」と「創業当初のヨークベニマル(中町店)」の写真が印刷されている。

 読めば、ズシンと重い内容だ。たとえば、「創業精神」の第8章では「オトリ商法ではお客様は釣れない。全商品が平均して安いこと」とEDLP(エブリデー・ロープライス)について言及している。「昭和23年に私の父が記したのです。いいことが書いてあるでしょ」と大高社長は頬をゆるます。

 厳然と明文化され存在する企業理念もいつしか忘れられてしまい、実感のない標語になっていく。だからカードを配布して常に眺め、忘れぬようにしようということなのだろう。

 食品スーパーの歴史もそろそろ60年。同じような状況に直面している企業は、案外多いはずだ。

 (『チェーンストアエイジ』誌 2010年9月15日号)

記事執筆者

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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